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2012年4月19日(木)

主張

米州首脳会議

域内協力は対等の原則でこそ

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 域内協力を強める中南米諸国が、米国のキューバ排除政策に強烈な「ノー」を突きつけました。先週末にコロンビアのカルタヘナで開かれた第6回米州首脳会議(サミット)は、中南米諸国と米国との対立を反映して、宣言文書を採択しないまま閉幕しました。

 米州での協力を推進するうえで、各国で国づくりの歩みが異なることを踏まえ、特定国を排除せず、地道に対話を進めるべきだという基本を、中南米諸国が一致して示したことが重要です。

排除は「時代錯誤」

 「この道は今日の世界では正当化できない。それは数十年前に終わりを告げた冷戦に、私たちをつなぎとめる時代錯誤だ」。コロンビアのサントス大統領は開会演説で、米国の対キューバ政策をこう批判しました。

 開会演説は拍手に包まれ、オバマ米大統領の緊張した面持ちが対照的でした。米国にとっては予想外の展開だったはずです。コロンビアは基地を米軍に提供し、米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶなど、親米路線をとってきた中南米で数少ない国の一つです。

 キューバの参加問題は首脳会議の最大の懸案でした。米国は、キューバが米州機構(OAS)に参加していないなどと難くせをつけ、キューバの参加を拒否しました。議長国コロンビアは、合意が得られないことを理由としてキューバの招待を断念しました。

 米国による中南米支配の道具だったOASは1962年、革命直後のキューバを排除しました。中南米の激変を反映して、2009年にはキューバ排除を正式撤回しましたが、キューバ自身はOASには復帰しないとしています。

 米州首脳会議は1994年に当時のクリントン米政権の呼びかけで開かれたもので、キューバを排除しながら、南北米大陸とカリブ海地域全域の自由貿易地帯化をめざしました。首脳会議は約3年おきに開かれてきましたが、中南米各国が自主性を強めるなかで、米国が主導する統合の構想は破綻し、雲散しています。

 オバマ大統領は09年の前回首脳会議で「過去の誤り」を認め、今後は中南米諸国と「対等のパートナー」として協力すると述べました。オバマ政権はこれまで、在米キューバ系市民の送金・渡航制限の緩和など、キューバ政策を手直ししました。しかし、半世紀に及ぶキューバへの経済封鎖と干渉は変えないままです。首脳会議の経緯は、米国こそ米州協力の妨害者であることを示しています。

 今回首脳会議には、キューバ排除に反対するエクアドルやニカラグアなどの首脳が参加していません。サントス大統領やボリビアのモラレス大統領は、キューバを排除した同会議は今回が最後になる、との見通しを語っています。

前進する中南米協力

 中南米では域内の協力が大きく進んでいます。昨年12月には、史上初めて域内すべての国が参加する「中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)」が、米国抜きで設立されました。路線の違いを超え、対等・平等の原則に基づいて域内の協力を強める歩みが、着実に前進しています。

 米国も中南米との協力を拡大しようとするなら、干渉をきっぱりとやめ、対等・平等の原則に立つことが不可欠です。


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