「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年4月5日(木)

イタリア ベテランも青年も失業者も

解雇規制緩和法案に広がる抗議

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 イタリアのモンティ政権は、解雇規制を緩和する法案の国会通過を狙って、与野党へ協力を呼び掛けています。一方、“改革で最も恩恵を受ける”と首相が説明してきた青年層も含めて、国民の間には規制の緩和に反対する世論が根強くあります。法案の撤回を求める労働組合のたたかいも広がりを見せています。(島田峰隆)


 二大政党のうち、右派・自由国民は法案に支持を表明。中道政党の民主党は法案の修正を求めています。ただ同党のベルサニ書記長は、2日付地元紙で「問題をあまりにも長くは放置できない」と語るなど、若干修正されれば政府案を受け入れる可能性も示唆しています。

 モンティ首相は同日、訪問先の中国で、「幅広い国民が法案を支持している」などと演説し、法案の早期成立へ期待を表明しました。

首相の思惑外れ

 しかし、国民世論は首相の期待通りではありません。3月25日に地元紙が発表した世論調査によると、67%が解雇規制の緩和は「望ましくない」と回答。賛成は29%にとどまりました。調査をまとめたレナート・マンハイマー氏はロイター通信に対し、「(解雇規制緩和への反対という点では)熟練労働者から青年労働者、失業者まで違いがない」と指摘しました。

 政府は、解雇規制を緩和して熟練労働者の「特権」をなくせば、労働市場の流動性が高まり、青年の高失業率を克服できると説明してきました。しかしロイター通信は「より簡単に解雇できれば企業が雇用を増やすという議論は信じられない」(28歳男性)といった青年の声を紹介し、「首相の労働『改革』は、それによって支援されるはずの青年の間でも不人気だ」と論評しています。

 ミラノ大学のジョルジョ・ナバレッティ氏は、「見通しのない時代だけに、不安定な状態にある労働者は雇用面の保護をより強く求めている」と分析しています。

近く16時間スト

 最大労組のイタリア労働総同盟(CGIL)は、法案の撤回を求めて、近く16時間のストライキを実施します。先月末には別の全国労組傘下の組合が、CGILのストに合流を表明するなど抗議の動きが広がっています。


 解雇規制の緩和法案 1970年制定の法律「労働者憲章」の第18条は、従業員15人以上の企業が労働者を解雇した場合、裁判所が不当解雇と判断すれば、企業にその労働者の再雇用を義務付けています。3月下旬にモンティ政権が閣議決定した法案はこれを改定。業績悪化を理由にした解雇や、再雇用を義務付けない補償金による解決などを容認するものとなっています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって