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2012年3月6日(火)

ロシア大統領選

プーチン氏 返り咲き

野党は批判、抗議行動継続

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 4日投票されたロシア大統領選挙は即日開票の結果、プーチン首相が6割以上の得票を集め、4人の対立候補に大差をつけて勝利しました。プーチン氏は同日、モスクワの中心部で開かれた集会(日本時間5日未明)で涙を流しながら「われわれは公正で開かれたたたかいで勝利した」と宣言しました。


 2000年から2期8年大統領を務めたプーチン氏は4年ぶりに返り咲きます。憲法改正で、大統領任期は4年から6年に延長されており、プーチン氏は最長で12年大統領にとどまることも可能。一方、昨年12月の下院選挙から不正選挙を告発してきた全ロシア的な抗議組織「公正な選挙を」は、今回も不正があったとしており、5日にモスクワで、改めて選挙不正や政権長期化への抗議集会を計画しています。

 ロシア中央選管のウェブサイトによると、開票率98・09%の段階で、プーチン氏の得票率は64・06%。2位のロシア共産党委員長のジュガーノフ氏の17・17%に大差をつけました。ほかの候補はいずれも10%に達しませんでした。投票率は中間発表で63%。

 プーチン氏は選挙戦のなかで、西側諸国の干渉によりウクライナなどで政権が転覆したと主張していましたが、勝利集会で「ロシアを崩壊させ、権力を強奪しようとする企ては失敗した」と強調。「この勝利はロシアの近代化、強大化、独立のためにぜひとも必要だった」と語り、自らの公約実現を訴えました。

 一方、ロシア共産党のジュガーノフ委員長は、政権が事実上支配するテレビが連日、プーチン氏を登場させたことなどを念頭に「不公正で恥ずべきものだった」と批判しました。

解説

統一した野党候補なく国家の安定求めた国民

 プーチン氏の当選は、反プーチンの抗議運動に統一した戦略、政策がなく、プーチン首相に代わる候補者もいないもとで、国民が消去法で候補者を選んだ結果といえます。

 昨年12月の下院選挙後、プーチン与党による不正行為があったとして広がった抗議運動は、20年前のソ連崩壊後、最大規模となり、抗議組織「公正な選挙を」が結成されました。

 抗議運動では、下院選挙のやり直しや選挙法の抜本改正を求め、今回の大統領選でも数万人の市民を組織して、不正が行われないように監視活動を展開しました。

 しかし、それ以外の統一した政治目標はなく、組織を代表する候補者を擁立することもできませんでした。選挙に登録された野党の候補者は、ロシア共産党、極右、新興財閥の大金持ちなど、いずれも、抗議運動の中心になったといわれる中間層の期待を担う候補者ではありませんでした。

 一方で、プーチン氏は西側がロシアを崩壊させようとしていると宣伝し、旧ソ連崩壊時の混乱を体験した年配層からの支持を集めたといわれます。同氏の国家安定の約束と指導力に有権者が期待を寄せたともいえます。

 プーチン氏は、不正疑惑を退けるために、選挙の透明性を図るとして9万5000カ所の投票所に監視カメラを設置するなど、野党側の要求も一部取り入れました。

 しかし、中央選管が野党候補者の一人、ヤブリンスキー氏の立候補に必要な200万人の署名の一部に不備があるとして候補者登録を認めず、テレビ・メディアの宣伝ではプーチン氏が他候補を圧倒しました。

 ロシアの日刊紙ベドモスチも、選挙の過程で不公正があったと指摘しています。

 抗議運動の中で、相手が政権であっても不正に対しては抗議をするという民主主義の姿勢が国民の中に根を下ろし始めてきました。強権で人々を従わせ腐敗汚職を生んできたプーチン体制に改革を迫る動きとして注目されています。(片岡正明)


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