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2012年1月26日(木)

「在宅化」で施設は減収

厚労省 介護報酬改定案を了承

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 厚生労働省は25日、介護保険から介護事業所に支払う介護報酬の2012年度改定案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護給付費分科会に示し、了承を得ました。「施設から在宅へ」という基本方向のもとで、特別養護老人ホーム(特養)など施設介護への基本的な報酬を軒並み引き下げました。

 重度の入所者が多いほど報酬が増えるようにして、医療機関の入院患者の介護施設への移行をすすめるとともに、中軽度の利用者は入りにくくします。

 特養と医療機関の中間に位置づけられている介護老人保健施設については、在宅に移った割合やベッドの回転率によって報酬に差をつけて、在宅化を強引にすすめようとしています。

 同時に、在宅の人へのサービスを生活援助の提供時間を3割程度削減するなど、縮小、短時間化をすすめています。要支援の人への介護報酬も減らします。

 「医療から介護へ」をすすめるため、介護老人保健施設の入所者が肺炎などになった際、医療機関に入院せずに施設内で対処した場合や、介護施設内でみとった場合に報酬を加算します。また、医療と介護の両方が必要な長期療養患者が入る介護療養病床の廃止を強引にすすめるため、報酬を引き下げます。

 「人件費の地域差を調整する」として、国家公務員の地域手当に準じて報酬単価を見直し、8割近い自治体で単価が下がります。2014年度末までの経過措置を設けます。

 今回の介護報酬改定は、1・2%とされていますが、これまで交付金で出ていた介護労働者の賃金引き上げ分を介護報酬に組み込んだため、実質的には0・8%のマイナスとなっています。

現場から怒り 生活援助30分短縮も 

 社会保障審議会介護給付費分科会が25日、生活援助の訪問介護の提供時間を大幅に短縮する介護報酬改定案を答申したことに、関係者から怒りの声が上がっています。

 改定案では現行「30分以上60分未満」「60分以上」の区分を、「20分以上45分未満」「45分以上」に短縮しました。現状では1回の提供時間は90分が事実上の上限ですが、改定後は60分程度が上限になります。約30分の大幅削減です。

 これまで度重なる生活援助の時間短縮でホームヘルパーは「駆け足介護」を強いられ、お年寄りは生活にしわ寄せがきて、生きる権利が脅かされています。

 「怒りを通り越しています。厚労省は一体何を考えているのでしょうか」。こう語るのは東京都大田区の訪問介護事業所「ヘルパーステーションすずらん」の楳田政代所長です。

 「生活援助は決められた事をただやればいいというものではありません。利用者さんを主体に状態や要求に合わせて行うものです。いまでもコミュニケーションをとる時間がなくなっているのに、これ以上短縮されればお話しすることさえできなくなる。現場を見ず、給付費の削減を狙って改定するのは許せない」と語ります。

 大阪社保協介護保険対策委員の日下部雅喜さんは「事業所は大幅な減収になるでしょう」と指摘。「ヘルパーはいっそうの多忙化によって離職に拍車がかかり、介護基盤が崩壊しかねない」と危ぐします。


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