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日本共産党

シリーズ コロナ時代の災害避難(8)

「ジェンダーの視点」で改善へ 国・自治体のとりくみに


男女共同参画の視点を反映した取組

 避難所や避難生活での「ジェンダーの視点」にたった取り組みは、きわめて重要な課題です。いままで、女性グループ・団体、ボランティアグループなどによる支援活動、研究者による調査、提言などが、国と自治体を動かす力となってきました。

要求を反映

 政府は、今年5月、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」を発表。「女性は防災・復興の『主体的担い手』」「男女の人権を尊重し安全・安心を確保」など七つの基本方針を明記しました。また、「避難所の生活環境の改善」「避難所や仮設住宅などでの性暴力の防止や相談対応」など35の課題を掲げ、チェックシートで点検できるようになっています。(別項)
しかし、現状はまだまだ不十分です。2016年4月の熊本地震の際の調査(内閣府男女共同参画局)にその一端が示されています。

 被災1カ月後までに、指定避難所のある24市町村で、「間仕切りによるプライバシー確立」がなされたのは13自治体にすぎません。「女性用更衣室」11自治体、「女性専用の物干し場」1自治体、「女性に対する暴力を防ぐ措置」4自治体などです(別表)。

 避難所での女性たちの生活がいかに困難であったかを示しています。そして、社会のおくれた現状が避難所生活に反映されたものといえます。

 緊急事態宣言のもと、自宅生活のなかで、「妻だけが、仕事も家事も、子育てもの生活だった」「DV被害が増大している」などの実態も明らかになりました。

 災害時には避難所や仮設住宅などで、女性や子どもに対する暴力の発生・増加をいかに防ぐかという視点が必須です。

 安心・安全な避難所づくりと運営への改善が強く求められています。

女性の意見

部屋札用の絵文字の一例
部屋札用の絵文字の一例(内閣府「災害対応力を強化する女性の視点」から)

 こうした改善を進めるには、避難所の運営に女性の意見を反映させる仕組みが欠かせません。

 熊本県益城町の避難所では、女性の代表を中心に、食事配り、トイレ掃除も男女が行う、女性や子どもの専用スペースの確保、働く女性の子どもを預かる互助サポート体制などが作られました。

 防災や災害対応にジェンダー平等の視点で臨むのは、世界的な流れです。第23回国連特別総会(2000年)では、防災・減災・復興の戦略や人道支援にジェンダー平等の視点を導入することを勧告。第2回国連世界防災会議(05年)では、「あらゆる災害リスク管理の政策・決定過程にジェンダーの視点を」と議論されました。

 こうした立場にたった本気の取り組みが求められています。(おわり)


別項
「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」(PDFファイル)

「しんぶん赤旗」2020年07月01日


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