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シリーズ コロナ時代の災害避難(3)

「避難所の物資備蓄調査を 水害発生前に国・自治体へ要請


写真:東日本大震災のときの避難所の様子
東日本大震災のときの避難所の様子

 内閣府などが6月10日に発出したQ&Aでは、「避難所における衛生環境対策として必要と考えられるもの」を列記しています。マスク、アルコール手指消毒液、非接触型体温計、除菌用アルコールティッシュ、簡易トイレなどのほか、段ボールベッド(簡易ベッド)、パーティション(仕切り壁)など、22品目をあげています(別表)。そのどれもが欠かせないものです。

 段ボールベッドなど簡易ベッドの利用は、飛沫(ひまつ)を防ぎ、床に付着したウイルスを避け、空気の流れをつくり、感染拡大防止に有効とされています。

 パーティションについては、▽ベッドに座ると顔が完全に隠れる高さにして飛沫を防ぐ▽就寝時の上向きの咳(せき)による飛沫を抑えるカバーを追加する―などの改善のうえ活用が求められます。

 トイレは不衛生で数も少ないので我慢する人が多く、体調を崩す人が出ます。簡易トイレの備えが必要です。

 非接触型体温計は、感染の有無を調べる上で欠かせません。

備蓄未掌握

 しかしこのように物資の備蓄を政府が促しても現場で備えができているのかどうかが問題です。

 5月20日の衆院国土交通委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、「指定避難所には感染症対策に必要な物資、資材の備蓄というものがどの程度されているのか、また、現状を把握されているのか」と質問しました。

 これにたいして、消防庁の担当者は、「指定避難所ごとの備蓄状況につきまして把握しておりません」「備蓄状況の取りまとめは困難」と、驚くべき答弁をしました。

 その後、政府は、「避難所における新型コロナウイルス感染症対応物資等の備蓄状況調査」をおこなっています。が、調査対象は、マスク、消毒液、パーティション、段ボールベッドの4品目にすぎません。しかも、調査の結果については「公表の予定はない」(内閣府防災担当)としています。

 国は地方自治体に文書を出すだけではなく、それを実現するために、責任を負うべきです。

生活環境は

 これまでの避難所の生活環境の改善についても、同じ問題があります。

 昨年の台風19号後の10月14日、日本共産党の志位和夫委員長は、避難所の生活改善について武田良太防災相に、▽被災地が冷え込むなか、毛布しか用意されていない避難所もあり、布団・段ボールなどの提供で暖をとれるようにすること▽間仕切りなどプライバシーを確保し、被災者のストレスへの対策を行うこと―などを要請しました。

 これらは、内閣府が2016年4月に出した「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取り組み指針」「避難所運営ガイドライン」ですでに指摘されていたことです。

 梅雨期に入り水害が心配されます。いまから地方自治体に必要な物資の備蓄を要請すること、自治体とともに国にたいして必要な財源やマンパワーの確保を求めていくことが必要です。


■避難所における衛生環境対策として必要と考えられるもの■
マスク/アルコール手指消毒液/体温計/非接触型体温計/除菌用アルコールティッシュ/タオル(ただし1回ごとに廃棄)/ペーパータオル/新聞紙(吐物処理用)/ハンドソープ/清掃用の家庭用洗剤/次亜塩素酸ナトリウム/フェイスシールド/カッパ/使い捨て手袋(ビニール手袋も可)/ラップ/ポリ袋/レジ袋/ジップロック袋/ゴミ袋/バケツ/スプレー容器/ふた付きゴミ箱(足踏み式)/簡易トイレ(凝固剤式)/段ボールベッド(簡易ベッド)/パーティション

「しんぶん赤旗」2020年06月21日


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