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シリーズ コロナ時代の災害避難(2)

臨時交付金の活用が可能に 避難対策、国民が動かす


 4月の時点で政府は、「危険な場所にいる人は避難することが原則」「可能な限り多くの避難所の開設を」と自治体に求めながら、裏付けとなる財源を示していませんでした。ところが「自粛に対する補償」をかたくなに拒否する政府への国民の怒りが、避難対策の分野でも政治を動かします。

合計3兆円

内閣府の「地方創生臨時交付金の活用事例集」
内閣府の「地方創生臨時交付金の活用事例集」

 全国民への定額給付金10万円支給などへ追いつめられた政府は、世論や全国知事会など地方団体のたび重なる要求も相まって、第1次補正予算に地方創生臨時交付金1兆円を計上。6月の2次補正では2兆円を積み増し、合計3兆円の規模に。

 「臨時交付金」は地方の裁量が大きく、地方の運用にあたって政府は「限度額」を設けようとしていますが、日本共産党は「住民要求実現に上限を設けるな」と主張し、たたかっています。

 この臨時交付金について政府は「地方創生臨時交付金の活用事例集」(5月1日公表、内閣府)のなかで「避難所の衛生環境を保つため、消毒薬等の資材を避難所に備蓄するための経費」など、公共空間での感染機会を削減する目的であれば、防災活動支援事業に充当できると明らかにしていました。

財政的支援

 国民の怒りはさらに政治を動かします。第2次補正予算案発表後の6月10日に公表された「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応に関するQ&A」(第1版)で政府(内閣府など)は、災害が発生したにもかかわらず災害救助法が適用されない場合でも「財政的支援はある」と記述。「災害救助法が適用されない場合は、ホテル・旅館等や民間施設の借上げ費用のほか、これらの施設への輸送等を含む避難所の設置、維持及び管理に要する費用について、令和2年4月1日以降に実施される事業であれば、『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金』を活用することが可能です」と明記しました。

避難所例も

 臨時交付金などの財源措置も背景に、政府は、内閣府・消防庁に厚労省も加わって、新型コロナ対応時の「避難所レイアウト例」を発表(5月21日)。

 避難受け付け時や受け付け以降の発熱者専用スペースの確保、移動経路の設定、健康な者の滞在場所、発熱・咳(せき)等のある者や濃厚接触者専用室などのレイアウト例を都道府県等に通知しました。

 10日公表の「Q&A」では、▽自宅療養者の避難の考え方▽濃厚接触者の避難準備▽避難所で備蓄が必要な物資一覧▽医療機関との連携▽ホテル・旅館等の避難所としての開設に向けた準備―など、多額の費用が必要な避難対策についても詳しく述べられています。

 避難準備は「待ったなし」。国の予算や制度の活用が急がれます。

「しんぶん赤旗」2020年06月20日


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