「赤旗」多彩な魅力
(2018年9月20日~28日)
目次
- 総裁選の異常に迫る
- 証言戦争 実相伝える
- 核禁条約推進の運動
- 市民の運動を応援
- 入党した人の思い伝え
- 子育ての心強い味方
- 築地守れ 業者と共に
- 文化を独自の視点で
- 五輪の秋開催を提言
- 校閲、言葉を見続ける
総裁選の異常に迫る
新聞、テレビ、ネットが連日報じた自民党総裁選。6年間に及ぶ「安倍政治」の検証報道はごく一部。その大半は自衛隊明記の9条改憲など安倍晋三首相の主張を無批判に垂れ流すものでした。
「赤旗」は、国民の疑問から時の政治問題を考えるシリーズ企画「政治考」で総裁選を特集。首相の改憲の発言そのものが憲法尊重擁護義務違反の違憲発言であることや、森友・加計疑惑を自民党全体として不問にするなか、総裁選が「『正直』が争点の異常」(2日付)となり、「自浄能力 完全に失う」(17日付)ことを明らかにしてきました。読者からは「首相の言い分のおかしさがよくわかる」などの感想も。
また「赤旗」は終戦記念日の8月15日付から「朝鮮半島の激動と北東アジアの平和」を9回にわたって掲載しました。米朝、南北会談を受けて始まった平和のプロセスが成功すれば北東アジアと日本の情勢にどんな展望が開かれるのかを探った好評連載。国内外の外交専門家も多数登場しています。
(写真)連載「朝鮮半島の激動と北東アジアの平和」(上)と自民党総裁選を報じた「政治考」
証言戦争 実相伝える
社会部では、1931年9月18日に日本軍が中国東北部への侵攻を開始した「満州事変」に始まり、45年8月15日の敗戦に至る日本の侵略戦争と、原爆や空襲など国民に犠牲を強いた実態を体験者の証言で取り上げてきました。
2014年7月1日に安倍自公政権が集団的自衛権行使容認を閣議決定し、戦争法=安保法制強行へと突き進もうとしているなかで始まったのがシリーズ「証言 戦争」です。
社会部の若手記者を中心に手記や資料を寄せていただいた読者を訪ねて取材。今年のシリーズでは、仲間の戦死、過酷な捕虜生活などを語った戦闘機「隼」の元操縦士、沖縄への特攻作戦で戦死した潜水艦搭乗員の遺族の思い、戦争で隠された東南海地震、食糧増産の開墾作業に動員された少年たち、空襲や学童疎開の体験などを取り上げました。
「父が同じ部隊にいた」「いま、証言集を編集している。登場した人に連絡を取りたい」など、読者の声も寄せられています。貴重な証言をこれからも伝え続けていきます。
(写真)今年8月14日付で掲載した「証言戦争」
(2018年9月20日)
核禁条約推進の運動
核兵器禁止条約が昨年7月に国連で採択されて1年余り。条約批准国は15カ国になりましたが、発効には50カ国以上の批准が条件となっています。外信部は、各国政府が批准したニュースをそのつど掲載。また、核兵器保有国やその同盟国も含めて、政府に署名・批准を促す議会や草の根の運動を伝えるために努力してきました。
8月10日付では、米ロサンゼルス市議会が核兵器禁止条約支持の決議を全会一致で採択したことを報道。さらに30日付では、米カリフォルニア州の議会が同条約を支持し、核先制使用政策の放棄を政府に迫る決議を採択したことを伝えました。
読者からは、核兵器大国でこうした動きがあることを知って「びっくりしました」との声が寄せられました。ある読者は「ヤフー」で検索したら、「報道したのはなんと赤旗だけ。他の新聞社・メディアは黙殺しているようです。赤旗の果たす役割の重要性を痛感しました」とのお便りを送ってくれました。
(写真)ロサンゼルス市議会とカリフォルニア州議会での決議採択を報じた8月10日付、30日付の記事
(2018年9月21日)
市民の運動を応援
憲法と暮らしを破壊する安倍政権の暴走に反対し、政治の転換を求める幅広い市民や労組・団体、グループや個人の運動を紹介し、「もう黙っていられない」と立ち上がる人々を励ましています。
安倍政権の退陣や安保法制(戦争法)の廃止を求める「総がかり行動実行委員会」の運動から、LGBT(性的少数者)は「生産性がない」と攻撃した問題で市民有志が呼びかけた自民党本部前での緊急抗議行動まで幅広く取り上げ、たたかいを後押ししています。
「市民アクション」が呼びかけた安倍9条改憲阻止の3000万人署名運動では、全国各地の草の根からの取り組みを紹介し、通常国会で改憲発議を阻止する力になりました。
官邸前や各地で毎週続けられている原発ゼロを求める行動も欠かさず報じているのは「赤旗」だけです。
「全国各地でこんなに立ち上がっている人がいるんだと勇気をもらっています」「こういう活動なら私もできると励まされています」との声が寄せられています。
(写真)安倍9条改憲阻止など市民のたたかいを報じる紙面
(2018年9月22日)
入党した人の思い伝え
今、「市民と野党の共闘で安倍政権を倒そう」とよびかけている日本共産党に多彩な人たちが入党しています。党活動部は、どういう人たちがどんな思いで入党しているのかを伝えています。
沖縄県の翁長雄志知事急逝の直後に「沖縄の思いを」を特集。20歳の沖縄の青年はオスプレイが飛び交う現実を告発し、「おじい、おばあの基地をなくすたたかいを継ぎたい」と語りました。
福島原発事故、戦争法強行をきっかけに抗議の声をあげ始めた市民が入党して新しい人生を歩み始めています。神奈川県藤沢市の女性(50)も3年前の戦争法強行時に国会前に行った一人。「戦争しない国でいて」。素朴な思いが入党につながりました。この記事は反響をよび、記事を読んだ女性が「私も政治をなんとしても変えたい」と入党を申し込みました。
労働時間の抜本的短縮を可能にし、人間の自由を発展させる「未来社会」。この党綱領の展望に「長時間労働、過労死社会を変えたい」(20代労働者)「資本主義の先にある社会にロマンを感じる」(派遣労働者)と生きる希望が湧いています。
(写真)新入党員の思いを特集した紙面
(2018年9月23日)
子育ての心強い味方
学校がちょっと息苦しそうで心配。子育てをもっと楽しめたら―。そんな時の心強い味方が「くらし・家庭」面です。
読みどころの一つは、旬の話題を考える「土曜ワイド」です。
1日付「小学校の英語 どう考える?」には「十分な研修もなく、授業の展開ばかりをトレーニング中。子どもに力をつけたくても、教師の側が右往左往している状態」(埼玉・女性)など切実な声が寄せられました。
10月は「かけっこが速くなるコツ」「スポーツが好きになる!」を専門家が教えます。
第3土曜は「子どものページ」。15日付は「勉強って何?」をテーマに小学生がじっくり“哲学”しました。
もう一つの読みどころは多彩なコラムです。おへそのごまさんがつづる「保育にこり・ほっと」(第2・第4土曜)。子どもの育ちにかかわる人たちの「教育エッセー」は火曜付に掲載中です。
そしてお悩みは電話相談へ。「子どもと教育」「障害児教育」に専門家が答えます。
(写真)子育てに役立つ「くらし・家庭」面の「土曜ワイド」やエッセー
(2018年9月24日)
築地守れ 業者と共に
土壌汚染された東京ガス工場跡地に建設された豊洲新市場の開場が来月11日に迫りました。
失敗した追加汚染対策や新たなひび割れの発見など、依然、問題は山積。小池百合子都知事の「安全宣言」と斎藤健農水相による新市場の開場認可は、歴史に汚点を残すものになるでしょう。
「赤旗」は、“豊洲新市場は、何よりも安心・安全が必要な食料品を扱う市場にふさわしくない”との立場に立ち、移転の問題点を多角的に報じています。
「築地に残りたい」と、「築地ブランド」を支えてきた仲卸業者の約7割が移転中止・凍結を求めています。
「豊洲」への移転を機に廃業を検討する業者も多く、移転は、築き上げられてきた「築地ブランド」の消滅に直結します。
「赤旗」は業者や市場利用者の声・悩みに寄り添い、無謀な豊洲新市場への移転計画を、業者、消費者、市民の目線で告発しています。
豊洲新市場移転を凍結・中止に追い込むまで、その追及の手を緩めません。
(写真)築地市場移転問題を報じる紙面
(2018年9月25日)
文化を独自の視点で
「どの映画を見るか、『赤旗』の映画評を参考にしている」―数多くの映画が封切られるなか、文化面では「赤旗」の視点で選び抜いた作品を批評や情報欄で紹介、読者の信頼を得ています。演劇、音楽、美術、文学、書籍も同様です。時には漫画も取り上げ、人類の価値ある文化の「いま」を出演者などのインタビューも含めて伝えています。
ふふっと笑ったり、考え込んだり、一つのフレーズが折にふれ思い起こされたりと、心を耕してくれるエッセー。坪内稔典さんの「ねんてん先生の文学のある日々」、前向きなエネルギーを発散する7本指のピアニスト西川悟平さんの「続・最悪を最高に」、ユニークかつ琴線に触れる短歌をユーモアと哀感ないまぜに紹介する谷川電話さんの「新・あなたはどこに短歌はここに」などなど。
ユニークな研究者に聞く「学問はおもしろい」、歴史の修正を試みる安倍政権に抗して、「明治150年」に学ぶなら何を学ぶべきか多様な論点で専門家が執筆するシリーズも好評です。
(写真)文化欄のエッセー
(2018年9月26日)
五輪の秋開催を提言
「この暑さで東京五輪ができるのか」「春や秋じゃだめなの?」―。今夏、読者から疑問の声が次々と寄せられました。
それに応える形で「酷暑の東京五輪 なぜこの時期?」(7月29日付)を3面で特集しました。日本スポーツ協会公認ドクターの「人間の体にたいする危険を考えたとき、この時期は無理」とのコメントを紹介。開催時期に「欧米のテレビマネーの要請がある」ことを指摘し、秋の開催を提言しています。
日本共産党の小池晃書記局長が翌30日、「アスリート・ファーストというなら秋に移すべき」だと会見し、読者から「まったく賛成です」との感想をいただきました。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は8月、暑さ対策として、政府に日本の標準時を2時間早める「サマータイム」導入を要請。安倍晋三首相は「党で検討を」と指示しました。
これにたいし「国民の健康や生活を損なうサマータイムは本末転倒」「変えるべきは『時間』ではなく開催『時期』」と本紙で問題点を連打しています。「秋の臨時国会で決めないよう、大反対の潮流をつくって」との要望も届いています。
(写真)東京五輪にむけたサマータイム導入などについて報じる「赤旗」紙面
(2018年9月27日)
校閲、言葉を見続ける
昨年の4月からコラム「校閲の目」をほぼほぼ月1回のペースで掲載してきました。
第1回は「忖度(そんたく)と安倍首相」で、「総理のご意向」「ねつ造と改ざん」など話題の言葉を選んできました。
9月のテーマは「勝ちきる力」でした。読者の質問に答えたもので、今後も応えていきたいと思います。
「校閲というと裏方仕事のような、辛気臭い作業に見えますが、紙面の信頼性を確保するためにはなくてはならぬ」との声も寄せられています。
ところで冒頭に「ほぼほぼ」と書きましたが、これは「ほぼ」を重ねて強調した言い方です。年3回更新するデジタル大辞泉には載っていますが、見出し語に掲げる紙の辞書はありません。
三省堂は2016年「今年の新語」大賞に選んでおり、同社の国語辞典には「ほぼ」を「俗に、重ねて使う」と書きました。しかし抵抗感を持つ人も多く、広辞苑第7版では見送られました。
「ほぼほぼ」は定着していくのか、言葉を見続けていきます。
(写真)コラム「校閲の目」
(2018年9月28日)