2025年11月4日(火)
主張
地方国立大の学費
国の責任で値上げ連鎖止めよ
国立大学の学費値上げが全国に広がる重大事態となっています。
昨年の東京大学に続き、今年は名古屋工業大学、埼玉大学、山口大学、電気通信大学が来年度入学生から約11万円、標準額からの2割値上げを決めました。都市圏以外の地方国立大学で値上げが決定されています。この動きが全国に波及すれば私立大学の値上げにも拍車がかかり、学費値上げの連鎖が起きかねません。
■「学生の声を聞け」
こうした値上げに対して、学生や教職員からは強い怒りの声が上がっています。
大学は、学生や教職員への十分な説明を行わないまま、寄せられた意見にも真摯(しんし)に耳を傾けず、短期間で値上げを決定しました。
埼玉大学や山口大学では、「授業料の負担を最も理解している私たちを無視するな」と訴える「有志の会」が結成され、大学側を厳しく批判しています。学生と教職員が連帯して学内で集会やデモを行い、「学生の声を聞け」「値上げ反対」と声を上げてきました。
推薦入試の時期を前後して突然発表された今回の値上げは、受験生とその保護者に不安を与えています。
地方の国立大学には、全国で教育の機会均等を保障するとともに、地域社会の担い手を育成するというかけがえのない役割があります。都市と地方の格差が広がり、少子化が進むなか、その役割はいっそう重要になっています。
経済的な理由から「地元の国立大学」を希望する学生は少なくありません。学費値上げの連鎖は、若者の未来を閉ざし、地域の活力を失わせかねない深刻な問題です。日本共産党は学費値上げに反対する学生、教職員のみなさんに心から連帯します。
■緊急の予算措置を
学費値上げの連鎖を止めるためには、国による緊急の予算措置が必要です。
国立大学が値上げを進める根本の原因は、政府による大学予算の大幅な削減にあります。法人化以降、国立大学への運営費交付金は約1600億円(13%)も削減されています。
それとあわせて、文部科学省は各大学の判断で標準額の2割増まで値上げできる制度を導入してきました。政府が予算を削り、大学が自ら値上げをせざるを得ない状況をつくり出しているのです。
大学が経営困難に直面すると同時に、学生、保護者も経済的な困難に直面しています。高学費と物価高のもとでアルバイトなしに学生生活が成り立たず、「時給の高い深夜や早朝に働き、睡眠不足で授業や研究に支障が出ている」という悲鳴が上がっています。これ以上の学費負担は、学生生活の基盤そのものを壊しかねません。
日本共産党は、10月10日に緊急アピールを発表しました。学費値上げの連鎖を止めるための予算措置を求め、国立大学が独自に授業料を値上げできる文科省令の撤廃を要求しています。
高等教育無償化を目指し、大学予算を増額して値上げを食い止め、大学の安定的経営、学生の学ぶ権利を国の責任で保障する仕組みへの転換が求められています。








