2025年11月1日(土)
きょうの潮流
「しんぶん赤旗」日曜版で好評の「『無言館』のうた」。戦没画学生の遺作を収蔵・展示する「無言館」(長野県上田市)の共同館主、窪島誠一郎さんが味わい深い文章で、戦争によって命を絶たれた画学生の短い生涯や遺族の思いを伝えています。日曜版をやめようと思っていたがこの連載があるので続けることにしたという人も。電子版では毎回、絵がカラーで見られるようになりました▼「無言館」からバスで15分ほど行くと、長野県最古の温泉地ともいわれる別所温泉があります。ここにもまた暗黒時代の歴史を巡る逸話が残っています▼戦前、反戦平和を訴え、治安維持法の死刑法への改悪に反対した山本宣治。山宣と親しまれた彼は、1929年3月1日、上小農民組合連合会の総会に招かれ上田市で講演しました。その4日後に右翼に暗殺され、非業の死を遂げます▼翌年、農民組合の人たちは抗議の意を込めて別所の地に山宣の記念碑を建てました。治安維持法による弾圧で取り壊しを命じられましたが、土地の持ち主が自身の経営する旅館の庭石に見せかけて守り通しました▼戦争が終わり治安維持法は廃止に。碑は71年に再建されました。今も温泉地の一隅に凜(りん)としたたたずまいを見せています。ラテン語で山宣の座右の銘「命は短し、科学は長し」が刻まれています▼今また「スパイ防止」の名のもと人々を監視して弾圧する法律が狙われています。先人たちの不屈の闘いを受け継ぎ、必ず阻止を。歴史を前に進めるためにも。








