2025年11月1日(土)
トランプ氏の核実験再開指示
米国内で批判・懸念・困惑
核軍拡競争再燃 NPT体制壊す
【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米大統領がSNSで突如、核実験の再開を国防総省に指示したことに対し、米国内で批判や懸念、困惑の声が広がっています。メディアや専門家からは、冷戦時代のような核軍拡競争が再燃する恐れや、国際的な核不拡散体制が崩壊する危険などが相次いで指摘されています。(関連記事)
トランプ氏がSNSに投稿した30日、首都ワシントンの連邦議会では、戦略核兵器を運用する米戦略軍のコレル副司令官が出席して上院軍事委員会の公聴会が開かれました。ロイター通信は、トランプ氏の突然の発表を受けて、「コレル氏は困惑した議員から繰り返し質問された」と報じました。
トランプ氏の意図を巡り、核爆発実験ではなくミサイルなどの運搬手段の試験の可能性はあるかと問われた、コレル氏は「大統領の意図について情報は持っていないが、そのような解釈もあり得る」としか答えられませんでした。
1951年から92年まで爆発を伴う核実験が繰り返された西部ネバダ州のローゼン上院議員は、「はっきり申し上げる。私がいる限りは核実験は再開させない」と語りました。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、トランプ氏の指示について、核保有国が次々と核兵器を爆発させていた「冷戦時代の最悪の日々への回帰」だと報道しました。
米研究所「軍備管理協会」責任者のダリル・キンボール氏は、ロイター通信に対し、「トランプ氏は誤った情報に基づいており現実を理解していない」と指摘。同氏の発表は「米国の敵対国による核実験の連鎖反応を引き起こし、核不拡散条約(NPT)体制を崩壊させかねない」と批判しました。








