2025年10月30日(木)
きょうの潮流
人工物に囲まれながら芽を出し、勢力拡大を試みる路上の植物たち。身近な緑を見守る人たちは国境を超えていました▼世界13カ国19人の“隙間植物愛好家”がその愛を競い合う『緑をみる人』。路上園芸鑑賞家の村田あやこさんがインスタの「いいね」を頼りにコンタクトを取り、約2年間取材しました。800枚の写真とインタビューで384ページ。「自立します!」とトークライブで何度も自慢するほどの分厚さです▼道路のアスファルトのひび割れ、レンガとレンガの隙間、マンホール蓋(ぶた)とその周り、消火栓の根元、建物の壁。住む国は違っても、見守る場所にはたくさんの共通点があります。「よくもまあ、こんな所で」といとおしくもなります▼都市と共存する緑は、社会のあり方も問いかけます。イタリアのパオロ・カスパーニさんは、環境問題の深刻さを憂えつつも、人が植物に何かしら触発されていることに「未来を感じる」と語ります。国を挙げて緑化政策をすすめているシンガポールのサラ・セオさんは、都市に生きる植物の多様性から人間の多様性に思いをはせています▼路上園芸をじっくり楽しめる季節が巡ってきました。足下に目をやりながら、いつもよりゆっくりした足取りで職場へ。白い石が敷き詰められていても、アスファルトで固められていても、緑はむくむくと盛り上がっていました▼毎日頭にくることばかりだけれど、これぐらいでへこたれないで。街中で生き抜く緑に、背中をポンと押された気がしました。








