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2025年10月29日(水)

主張

読書週間

人生を生きる力つける環境を

 第79回「読書週間」が27日から始まりました。

 「読書週間」は1947年、「まだ戦火の傷痕が至るところに残っているなかで『読書の力によって、平和な文化国家を創ろう』」(読書推進運動協議会)と出版社、公共図書館などによって生まれました。

 いま、読書離れ、書店の減少が急速にすすみ、読書をめぐる状況には厳しいものがあります。

■6割の人が1冊も

 国民の読書調査では、1カ月に1冊も「読まない」が約63%と多数です(文化庁2023年「国語に関する世論調査」)。「読書量が減っている」が約7割でその理由として「情報機器(スマホ等)で時間が取られる」(約44%)、「仕事や勉強で忙しくて読む時間がない」(約39%)が上位です(複数回答)。

 高校生でも約48%が1カ月に1冊も読書していません。(全国学校図書館協議会24年「学校読書調査」)

 多くの町から本屋が姿を消しつつあります。

 03年には約2万1千店舗あったものが23年には1万1千と20年で半減しました。このため書店がない市町村は全体の約28%を占め、書店がないか1軒しかない市町村は約47%に及んでいます。

 文化庁の先の調査では、本をどのように選んでいるか、との問いに、「書店で」が最も多く約58%、「インターネット利用」が約33%です。書店が消えること自体が読書の障害になっています。

 経産省などが6月発表した「書店活性化プラン」は、「街中にある書店は、地域住民にとって、多様な作品に触れることができる地域の重要な文化拠点」としています。

 プラン作成に向けての聞き取りでは、書店から「インターネットの情報に頼ると、自分の関心のある偏った情報しか入って来なくなる。店内を見て回ることで、自分が今まで知らなかった新しい情報を得て関心を持ってもらうことが書店の役割だ」などの声が寄せられています。

■本を支える予算を

 経産省の書店振興プロジェクトチームの報告「関係者から指摘された書店活性化のための課題」では、「欧米諸国や韓国に比べると、中央政府による文化向けの支出額が最も少なく、予算に占める割合や国民1人当たりの支出額も低位」と指摘されています。

 フランスの「公共図書館及び公読書に関する法律」では、市民に読書の機会を保障することを国や自治体の責務とし、乳幼児期、若者、すべての人向けに、読書を奨励する施策が講じられています。コロナ禍では青少年に数万円の「文化パス」が配布され、多くが書籍購入に使われ1450万冊が購入されました。

 日本でも01年、「子どもの読書活動推進法」が制定され、「読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」とし、「そのための環境の整備が推進されなければならない」としています。

 図書館の拡充はじめ必要な施策と予算措置など政治の役割も問われています。


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