2025年10月28日(火)
技を掛け合う大熱戦
将棋新人王戦 服部七段が制す
![]() (写真)対局後検討する服部慎一郎七段(右)と斎藤明日斗六段。(奥右から)小木曽陽司「しんぶん赤旗」編集局長、立会人の佐藤紳哉七段=27日、東京・将棋会館 |
関東の斎藤明日斗六段と関西の服部慎一郎七段との東西対決となった将棋の第56期新人王戦決勝三番勝負は、フルセットの大熱戦の末、服部七段が27日に東京都渋谷区の東京・将棋会館で行われた第3局に勝ち、2勝1敗で2連覇、3度目の優勝を決めました。
第1局は振り駒の結果服部七段の先手となり、服部七段が受けの強さを発揮して先勝しました。第2局は斎藤六段が事前の研究を生かして序盤から優位を築き、混戦を制して1勝1敗としました。
第3局は改めての振り駒の結果、服部七段の先手となりました。
戦型は矢倉となり、早い段階で前例のない将棋になると、序盤は互いに突っ張り合うような展開となりました。
35手目、服部七段の☗4五銀に対する斎藤六段の、昼食休憩を挟んだ長考が実り、ギリギリのところで後手がバランスをとることに成功します。
その後難解な中盤戦となり、61手目☗3五角と服部七段が踏み込んだ手を立会人の佐藤紳哉七段は、「ギリギリのところで均衡を保っている。最も強い手」と評します。それから、先手の玉の近くに後手のと金を作らせる大胆な手順で、難解な終盤戦に突入。佐藤七段も、「難しい」「ギリギリ」と繰り返します。
その後は両者が技を掛け合う展開となり、感想戦での振り返りにも熱が入ったようです。
78手目☖5八銀~☖5三竜と一連の手筋が決まり、斎藤六段も優位を自覚したようですが、☗4四歩に☖6五桂としたのが、斎藤六段も「読みがすっぽ抜けてしまった」という悪手で、再び先手有利となりました。
粘りに切り替えた斎藤六段は100手目☖5二玉として、後手玉も簡単には詰まない形となりましたが、☗5五金~☗5四歩が好手で先手がはっきりよくなりました。
佐藤七段は「決勝にふさわしい大熱戦でしたね。お互いが技を出し合う良い将棋でした」と本局を振り返りました。
両対局者ともに今期が最後となる新人王戦。有終の美を飾った服部七段は終局後のインタビューで、「今期途中からラスト(の新人王戦)となったので、いい将棋をとずっと思っていました。決勝まで来ることができて、こうして3局斎藤さんと指すことができて、とても充実した時間でした」と語りました。
惜しくも準優勝となった斎藤六段は、「最後の新人王戦ですし、盛り上げていきたいなと思っていたので、3局服部さんと指せたことは充実感があってよかったなと思っています」と述べ、「決勝3局の内容をしっかり反省して、棋力向上に努めていけたら」と今後の抱負を語りました。










