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2025年10月28日(火)

主張

裏金議員の登用

国民無視の開き直り許されず

 高市早苗首相が安倍路線回帰の姿勢を強めています。自民党の旧安倍派が震源地となった裏金事件への無反省ぶりも、その一つです。高市首相は国会での所信表明演説で「政治への信頼を回復するための改革にも全力で取り組む」と述べながら、裏金問題にまったく言及しませんでした。これでは、とても「信頼回復」はできません。

■旧安倍派を要職に

 高市首相はこの間、裏金問題で政策秘書が略式起訴されたばかりの萩生田光一氏を自民の幹事長代行に起用しました。萩生田氏は安倍晋三元首相の側近で、旧安倍派幹部「5人衆」の一人でした。

 さらに、副大臣・政務官人事では旧安倍派の衆参両院議員計7人を起用。外務副大臣に起用された堀井巌氏は2018年から22年までの5年間で政治資金収支報告書への不記載額が876万円に上り、党から戒告処分を受けています。農林水産副大臣に起用された根本幸典氏も420万円の不記載がありました。

 高市首相は総裁就任後の記者会見で、裏金議員について「(党内の)厳しい処分を受け、最終的に選挙で厳しい審判を受けた」と発言。「人事に影響はない。しっかり働いていただく」と述べていました。

 しかし、国民は納得していません。「毎日」の世論調査(25、26両日実施)では、裏金議員の要職起用について「問題だ」が60%で、「問題だとは思わない」の22%を大きく上回りました。

 選挙で“みそぎが済んだ”ともいえません。そもそも、自民が国民の信頼を失い少数与党に陥った要因は「政治とカネ」への対応の不十分さにありました。

 自民は、7月の参院選の総括で裏金問題が敗因の一つとし、「我々は、この問題が引き続き自民党に対する不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省をしなければならない」と記載していました。その反省は一体どこへいったのでしょうか。

■問われる各党態度

 高市首相の所信表明を受け、各党の代表質問がこれから行われます。「政治とカネ」をめぐる問題は引き続き焦点です。

 公明党は「政治とカネ」の問題に消極的な高市首相の政治姿勢を理由にして、自民との連立を離脱しました。一方、公明に代わって、「企業・団体献金の禁止」を主張してきた日本維新の会が自民と新たに連立を組んでいます。自民と維新の連立合意書では、企業・団体献金について「現時点で最終結論を得るまでに至っていない」と先送りしています。

 “だれの指示で、いつから始まり、何に使ったのか”という裏金問題の核心部分はいまだ解明されていません。さらに、企業・団体献金のあり方については「(25年)3月末までに結論を得る」と与野党で合意していたのに何も決まりませんでした。

 各党が「政治とカネ」の問題にどう向き合うのかが問われます。参院選での審判を重く受けとめ、裏金問題の真相解明と政治腐敗の大本にある企業・団体献金の禁止に踏み出すことが必要です。


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