2025年10月28日(火)
きょうの潮流
「人間らしい生活とは何か」「人間とは何か」。重症結核患者の朝日茂さんは1957年8月、低すぎる生活保護費は違憲だとして国などを訴えました。世にいう「人間裁判」です▼東京地裁は60年10月、茂さん勝訴の判決を出しました。浅沼武裁判長は憲法25条の「健康で文化的な生活水準」について、「人間に値する生存」ができなければならないとしました。「その時々の国の予算配分によって左右されるべきものではない」とも▼二審で判決が覆され、上告審の途中に茂さんが死去。養子縁組した朝日健二さん、朝日君子さんが裁判を引き継ぎましたが、最高裁は茂さん死去で裁判「終了」と判決▼それでも一審判決後から生活保護基準は引き上げられました。「権利は闘う者の手にある」。茂さんのこの言葉を引き継ぐように、さまざまな社会保障裁判がその後も続きます▼生活保護の老齢加算をめぐる「生存権裁判」では、高齢の利用者が立ち上がりました。デマにもとづく生活保護たたきの中でも不屈に訴え、福岡高裁では勝訴。最高裁で逆転されたものの今につながります。生活保護基準をめぐる「いのちのとりで裁判」では、最高裁が基準引き下げは違法の判決。生活保護たたきは間違っているとの認識も、広がりました▼憲法97条は基本的人権について「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」と明記します。自由と権利を維持し続けるためには「不断の努力」が必要です。「人権としての社会保障」を求める闘いは脈々と。








