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2025年10月27日(月)

政治資金を私的流用か

上野厚労相の団体

スナックで「打ち合わせ」/茶道クラブ「会費」…

 高市早苗政権の新内閣で初入閣した上野賢一郎厚生労働相(衆院滋賀2区)がスナックや焼き肉店、個人の趣味とみられる支出で政治資金を私的に使った疑いがあることが26日、本紙の調べで分かりました。政治資金規正法は「政治活動に必要な経費」に限って支出を認めています。私的流用が事実なら同法違反の疑いもあり、上野氏の説明責任が問われます。(丹田智之)


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(写真)高級バーやスナックが集まる東京・赤坂の繁華街=23日

 上野氏が代表の資金管理団体「うえの賢一郎・政経フォーラム」の政治資金収支報告書(2023年分)によると、組織活動費(会議費)の欄に「打ち合わせ飲食代」名目で27件の支出がありました。

 その二つは、有名人が通う高級バーなどが多く集まる東京・赤坂のスナックでの支払いです。同年2月に6万8900円、同年7月には5万2200円を支出していました。

 店舗はネオンが輝く通りに面したビルの3階にあり、扉を開くとスーツ姿の男性客がカウンターの前で酒を飲んでいました。

 従業員の女性は「上野氏や後援会員が何度か来店した」と話します。一方、会議や打ち合わせの目的で利用した事実があるのかは明言しませんでした。

 スナックの他に焼き肉店や中華料理店などでの支払いもあり、総額は200万円を超えます。いずれも店内で「打ち合わせ」をしたのかは不明です。

妻子と茶会参加

 組織活動費(行事費)の欄に「会費」として記載された3件の支出にも私的流用の疑いがあります。

 同年2月に支出したのは、地元の茶道クラブの会費1万1800円です。

 茶道クラブの会長を務める女性は「上野氏は会員で、年間5500円の会費と茶券の郵送料を支払った」と説明。「政治活動ではなく、趣味として茶会に来ている。妻や子どもと参加したこともあり、茶道に多少の興味がある人なのだと思う」と語りました。

 大相撲の開催前に滋賀県長浜市で行われた「宮城野部屋長浜合宿」の事務局に2万5000円を支払った記載もありました。同事務局の関係者によると、合宿の最後に力士たちをねぎらうための打ち上げ会を開き、その参加費や手土産代として集金しました。

 地元出身の歌手のファンクラブには、1万1000円を支出。ファンクラブの公式サイトによると、入会金は2000円、年会費は3000円です。

 茶道クラブと歌手のファンクラブには、政治資金で複数人の会費を負担した可能性があります。

 本紙の質問状に対し、上野氏の事務所は「政党機関紙からの質問には回答しておりません」とコメントしました。

公私混同の背景

 上野氏は23年に開いた2回の政治資金パーティーで、計3012万円を集めています。

 神戸学院大学の上脇博之教授(政治資金オンブズマン代表)は「酒を提供する店で会議を開く必要性はなく、私的な飲食代を『会議費』として支出したのなら虚偽記載罪に問われる。明らかに政治活動ではない行事の会費も自分の財布で支払うべきだ」と指摘。政治資金が有り余っていることが公私混同の背景にあるとして「パーティー券の購入も含めて企業・団体献金を禁止し、政党助成金を廃止することが求められる」と述べています。


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