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2025年10月24日(金)

主張

維新のごまかし

定数削減は痛みを強いる口実

 高市早苗政権で連立を組んだ日本維新の会が、連立の絶対条件としたのが衆院議員定数の1割削減法案をこの臨時国会で成立させることです。

 「政治とカネ」棚上げへの批判をかわそうと、同党が声高にアピールするのが、定数削減が「改革の本質」(吉村洋文代表)との主張です。藤田文武共同代表は定数削減の目的は、「改革」をすすめるために、まず政治家が自らに厳しい姿勢を示すためだとします。

 裏金問題など自民党の金権体質を見る国民には「政治家はいい思いをしている」との不信感があります。では、議員定数削減で政治家は「身を切る」ことになるでしょうか。

■切られるのは民意

 国会議員50人の削減で減る支出は年約35億円にとどまります。議員を減らしたからといって裏金づくりなど金権政治が変わるわけでもありません。最大の特権である政党助成金は、赤ちゃんも含め国民1人250円、年間総額約316億円を日本共産党以外の党が分け合っています。議員が減っても総額は変わらないので議員1人が受け取る額はかえって増えます。

 定数削減は政治家の身を切るものではありません。切られるのは民意です。ことに比例代表を削減し、大量の死票を生む小選挙区の割合を増やすことは、民意を無視した悪政を可能にする突破口です。

 自維政権が真に自らに厳しい姿勢を示すのなら、政党助成金を廃止し、企業・団体献金を禁止すべきです。日本共産党はどちらも受け取っていません。定数削減などしなくてもこの改革はできます。

 2012年、「政治家が身を切る」と称し国会議員定数削減と引き換えに消費税10%への増税法が強行されました。維新の拠点である大阪府・市では議員定数削減と引き換えに公務員が減らされ、公立病院や府立高校が統廃合され行政サービスが低下しました。

 「身を切る改革」は、「政治家も身を切るから」と国民に負担増を強い、社会保障を改悪し、行政サービスを削って国民に痛みを押しつけるための口実にほかなりません。

■自民を生き返らす

 吉村氏は「定数削減が日本の構造改革の核心」と強調しています。藤田氏は「30年間の失われた経済を立て直す。自民党と対峙(たいじ)し自民党のつくった腐った政治を変え、生活をよくする政治を必ずやる」と街頭で訴えていました(連立合意前の16日)。

 この30年で消費税は3回増税、社会保障も改悪され庶民負担は重くなりました。大企業減税が繰り返されましたが賃金や投資に回らず、労働法制の規制緩和で非正規労働が広がりました。実質賃金が下がり内需低迷で経済が停滞する「構造」がつくられました。

 大企業最優先でこの「構造」をつくってきたのが自民党です。自民党政治を変えない限り、国会議員を減らしたところで「改革」にはならず、経済立て直しも、生活をよくすることもできません。

 しかし、比例定数の削減は比較第1党の自民党に有利に働き、危機に瀕(ひん)する同党を生き返らせ、さらなる悪政をすすめることになります。

 維新のごまかしを徹底的に打ち破る必要があります。


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