2025年10月24日(金)
ガザ人道支援は義務
対イスラエル ICJが勧告的意見
【カイロ=米沢博史】国際司法裁判所(ICJ)は22日、イスラエルが、パレスチナ・ガザ地区を含む占領地で民間人の基本的ニーズを満たし、国連機関、特にパレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援活動が円滑に進むよう援助する国際法上の義務を負っているとする勧告的意見を発表しました。
イスラエル国会は昨年10月、国内でのUNRWAの活動を禁止し、当局者にUNRWAとの接触を禁止する法律を可決。これを受けて国連総会は同12月、イスラエルが占領国として、国連の活動や人道援助をめぐってどのような国際法上の義務を負うかについて、ICJの勧告的意見を求める決議を挙げていました。
ICJの岩澤雄司所長は審理のなかで、「イスラエルには住民の生存に不可欠な物資を保障する義務がある」と指摘。イスラエルが、UNRWA禁止の根拠として主張しているイスラム組織ハマスによる浸透については、証拠が確認されていないと述べました。
勧告的意見は、イスラエルが国連と「誠実に協力」し、その活動に「あらゆる援助を行う」とともに、国連憲章の定める国連施設・職員の「特権と免除」を尊重する義務がイスラエルにはあるとしました。これまでイスラエルはガザでUNRWA施設への攻撃や職員の殺害を繰り返してきました。
UNRWAのラザリニ事務局長はX(旧ツイッター)で「明確で力強い決定」だと歓迎。「(UNRWAの)中立性への疑念には根拠がなく、職員の殺害や施設の破壊について責任を問う必要がある」と強調しました。
ICJの勧告的意見には、法的拘束力はありませんが、法的かつ道義的な基準となります。2023年10月にイスラエルがガザ攻撃を始めて以来、ICJは、ガザ地区での集団殺害防止を求めた暫定命令(昨年1月)、「イスラエルのパレスチナ占領は違法であり、直ちに終了すべき」だとする勧告的意見(同7月)など相次いで判断を出してきました。
一方、イスラエル外務省は同日、Xに、ICJの勧告的意見を「完全に拒否する」と投稿しました。








