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2025年10月23日(木)

暮らし壊しカジノ暴走

定数削減あおる維新 大阪で何を

 維新の会が自民党との「連立の絶対条件」として持ち出し、今国会で成立をめざすことで合意した「国会議員定数の1割削減」。維新の吉村洋文代表は「議員定数削減は維新の『身を切る改革』の原点。大阪で府議会の定数削減をやり、財政を立て直し、いろんな改革をやってきた」(17日、テレビ番組)と自慢しますが、大阪で何をやってきたのか見てみると―。


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(写真)「くらし優先の府政を」とパレードする府民要求連絡会の人たち=9月18日、大阪市中央区

 大阪府議会は109あった定数を2011年、維新が「身を切る改革」の名で主導し、88に削減。さらに22年に79にまで減らし、6年間で2割も削減されました。53選挙区のうち1人区は36もあり、最大は4人区で3選挙区だけ。23年の府議選では、全有権者の26%得票にすぎない維新が7割もの議席を独占しました。

 大阪市議会でも維新主導で23年に81議席から70に削減。大阪維新は有権者比約25%の得票(23年)で議席の6割以上を独占します。

 民意を切り捨て過半数・多数議席を得るなかで、不要不急の万博やカジノ誘致に熱中する一方、府民の暮らしや地域経済は置き去りにされ、行政水準の遅れが深刻になっています。

医療破壊

 記憶に新しいのがコロナ禍で全国最悪水準の感染者・死者を出したことです。病床が足りず「自宅療養」が押し付けられ、必要な医療を受けられず自宅で亡くなる人が相次ぎました。

 大阪市立住吉病院の廃止など病院の統廃合をすすめ、20年度に約230床、21年度に約430床の削減など国の「地域医療構想」=病床削減を率先して進めてきた責任は重大です。

 元維新代表の橋下徹氏が「大阪知事、市長時代に徹底的な改革を断行し、有事のいま、現場を疲弊させたところがあると思います。保健所、府立市民病院など」とツイッターで認めた(20年4月)通りです。

 大阪では、国民健康保険料や介護保険料など社会保険料負担が全国で最も重い水準です。連立合意は「医療費4兆円削減」で社会保険料引き下げを掲げますが、自治体の判断でできる引き下げを拒否しているのが維新府・市政です。「4兆円削減」は病床大幅削減、OTC類似薬の保険外しなどで医療破壊・負担増に拍車をかけるものです。

学校破壊

 維新は私立高校「授業料無償化」を自慢しますが、長年の運動に押されたもので、問題は公私立ともに教育条件の引き下げと一体で行われていることです。

 私学には経常費助成の削減などを行い、生徒獲得競争に駆り立てています。

 府立高校は「定員割れ」で統廃合対象とする条例をつくり、昨年までの11年間で21校を廃校・募集停止。さらに32校を40年までに減らす計画です。これには党派を超えて幅広い反対運動が広がっています。

 国民の運動が国を動かし小学校で35人学級が実現し中学校でも実施されるなかほとんどの都道府県が先行して30人・25人学級へ踏み出していますが、大阪府でも大阪市でも独自の上乗せがありません。教育予算減らし・競争激化が維新流「教育改革」の実態です。

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(写真)維新が暮らし置き去りですすめているカジノ誘致の建設現場

地域破壊

 吉村氏は「財政を立て直した」と自慢し、自由に使える財政調整基金は過去最高の2500億円を超える見通しです。しかし、これは法人税収の回復や消費税増税による増収分に加えて職員削減と府民の医療・福祉削減、コロナ禍で独自対策をほとんど行わなかったことによるものです。

 こうした財源を注ぎ込んできたのが万博とカジノ誘致です。人の不幸の上に成り立つカジノで税収が増えても、住民から吸い上げただけで地域経済の発展にはなりません。ギャンブル依存症など社会的損失を加えるとマイナス効果が大きく結局、潤うのはゼネコンやカジノ関連企業だけです。

 「カジノに税金投入はしない」(松井一郎・元維新市長)と言っていたのに、予定地・夢洲(ゆめしま)の汚染土壌・液状化対策に約790億円も投入しています。

 カジノのインフラ整備を公費で進めるために誘致した万博では、「3兆円の経済効果」(吉村氏)とぶち上げましたが、万博会場建設で一時的に成長率が上昇しただけで、開幕後は全国より落ち込んでいます。イベントや大企業頼みの維新流「成長戦略」は行き詰まりに直面しています。

「都構想」

 大阪市をなくす「大阪都」構想は15年、20年の住民投票で2度も否決されました。ところが、維新は「府市一元化」条例を可決し、大阪市の権限と財源の骨抜きを図りました。それでも飽き足らず、3度目の「都構想」をねらっています。そのテコにしたいのが自民と連立合意した「副首都」整備法案です。副首都には「特別区の導入」を義務付け、「大阪都構想」を押し付ける仕組みです。

 「都構想」は、府・市の機構と財政を一つにして、住民福祉の役割を放棄し、カジノなど維新流「成長戦略」=大企業の大もうけを支援する大阪づくりがねらいです。不要不急の淀川左岸線2期・延伸など総事業費1兆3000億円超の巨大工事が進行中。新たに東部開発など目白押しです。かつての自民党府政は湾岸の乱開発で自治体財政を破綻の淵に立たせましたが、維新は自民党に代わり乱開発を進めているのが実態です。日本共産党や幅広い府民は「万博・カジノ優先をやめて暮らし・営業応援を」とたたかっています。

「独裁政治」のなせる業

おおさか市民ネット代表 藤永延代さん

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 そもそも選挙制度は国民主権の根幹にかかわる重大事項であり、政権を握ったからといって独裁的に決めてはいけないものです。

 維新の政治信条は「数!」だと思います。議会の多数を握り、議員定数削減で磨きをかける。これで2度の住民投票に負けても「府市一体化条例」を制定して大阪市の財産を勝手放題に使い込み、「万博」「カジノ」とやりたい放題です。大阪の介護保険料が全国一高いのも、私学助成の陰で公立高校の大幅削減も生活保護の削減も「独裁政治」のなせる業です。

 閉幕した万博隣地のIR地区は重機が林立し土壌改良の真っ盛りです。「思ったより土壌が悪いので手を引いたゼネコンもある」という話も聞きます。万博の後始末と夢洲(ゆめしま)開発に想定以上のお金がかかる。これも維新が自民党にすり寄った要因の一つだと思います。こんな政治を許してはなりません。


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