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2025年10月23日(木)

主張

高市内閣発足

民意に逆らう危険性ともろさ

 高市早苗氏が憲政史上初の女性首相として新内閣を発足させました。自民党と日本維新の会の連立政権合意を推進することになります。合意内容は参院選で示された国民要求を棚上げしたうえ、改憲や大軍拡、社会保障の切り捨てなど民意とかけ離れたものばかりで、国民との矛盾を深めざるをえません。

■タカ派議員ずらり

 新内閣の顔ぶれでは、高市首相と思想・信条が近いタカ派議員が目立ちます。内閣の要となる官房長官には、現職防衛相として初めて靖国神社を参拝した木原稔氏を起用。防衛相となった小泉進次郎氏も終戦記念日の靖国参拝を「初当選以来、毎年の行動だ」という「靖国派」です。

 一方、高市氏の他に女性閣僚は2人だけで、総裁選で高市陣営にいた人物。「北欧の国々と比べても劣らないほど女性がたくさんいる内閣」としていましたが、過去最多の5人にも及びません。しかも、「違法外国人ゼロ」を掲げ、排外主義をあおってきた小野田紀美(きみ)氏を当選2回ながら、外国人政策と経済安保の担当相に抜てきしました。

 高市首相は就任後の記者会見で軍事費を国内総生産(GDP)比2%へ増額するとした安保3文書を前倒しで見直すよう指示すると表明しました。GDP比3・5%への増額というトランプ米政権の要求に応えようとするものです。暮らしの予算はいっそう削減を迫られることになります。極めて危険な政権です。

 高市首相は、病院や介護施設の経営が厳しいとして「経営改善、処遇改善につながる補助金を措置する」としたものの、維新との医療費4兆円削減の合意は進める構えで、矛盾は避けられません。物価高対策では、自公が参院選公約にした一律2万円の給付は「国民の理解を得られなかった」として撤回を表明。一方で、国民が強く求める消費税減税は先送りします。

■盤石ではない政権

 しかし、高市政権は決して盤石ではありません。平和、暮らし、民主主義などあらゆる面で国民との矛盾を深め、自民党政治そのものを終わりへ導く政権になる可能性があります。

 自維連立政権の誕生は、自民が国政選挙で大敗し少数与党となったうえに、公明党が連立離脱したことが要因です。窮地に追い込まれた自民がなりふり構わぬ多数派工作で維新と連立したものの、国民の審判に逆行するほころびは隠せません。

 とりわけ、維新が突然、持ち出した国会議員定数の1割削減は重大です。多様な民意を切り捨てたうえに、議会による行政監視機能を弱体化させます。削減の合理的根拠はなく、与党の合意だけで強行すれば、大きな反発を招くのは必至です。自維政権となっても、衆参両院で少数与党なのに変わりはなく、多数の合意をえられない政策の推進が政権そのものの行き詰まりに直結する可能性があります。

 臨時国会での論戦はこれから始まります。自維連立政権の危険と正面から対決し、平和・民主主義を擁護・発展させる“新しい国民的・民主的共同”を広げることがますます重要となっています。


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