2025年10月21日(火)
主張
自民・維新の政権合意
反動化へ危険な企てを許すな
高市早苗自民党総裁と吉村洋文日本維新の会代表は20日、連立政権樹立の合意書に署名しました。維新は21日に召集される臨時国会の首相指名選挙で高市総裁に投票、「閣外協力」の形で自維政権が誕生することになりました。
両党の連立は、国民の暮らし、安保・外交、憲法・民主主義などどの分野をとっても日本をかつてない危険な方向に引き込んでゆくものになっています。日本の政治は反動ブロックの危険を許すのか、自民政治をやめさせ希望ある政治に転換するのか、鋭く対決する重大な局面を迎えます。
■議員削減する暴挙
自民・維新の政策合意は、国民が求め、最大の焦点になっていた企業・団体献金の禁止と消費税減税については棚上げしています。その一方、12項目を柱にした合意事項は「日本の反動化プログラム」ともいうべきものです。
社会保障では、「社会保険料を下げる」を名目に「医療費年4兆円削減」を掲げる「自・公・維3党合意」の実施とその第2段階を提起し、いっそうの患者・利用者負担増、サービス供給体制の切り捨てなど医療・介護を破壊する内容です。
2度の住民投票で否定された「大阪都構想」を前提にした「副首都構想」も重点課題として合意されています。
安保・外交では、安保3文書改定によるいっそうの軍拡推進、武器輸出の促進、「スパイ防止法」の制定、憲法9条改悪の両党起草協議会の設置、「政治改革」では政党法制定など反動化計画がズラリと並んでいます。
なかでもこの臨時国会での成立を必須条件として急浮上した国会議員の大幅定数削減は重大です。吉村氏は「これで合意しなければ連立入りしない」と強調してきました。
自民・維新の政策協議が16日に始まると、企業・団体献金禁止を棚上げしたまま合意することにならないか、疑問と批判が集中。そこでごまかすために持ち出したのが「定数削減こそ政治改革のセンターピン」(吉村氏)というすり替えです。
定数削減自体、国民の声を国会に届けるパイプを細くし、議会制民主主義の根幹を揺るがすものです。そもそも日本の国会議員数は諸外国と比較しても少ないのです。しかも現在、衆議院選挙制度協議会で定数を含め選挙制度について自民や維新の代表も参加し与野党で議論しています。
そこに突然、外部から比例定数削減を押しつけるなどは、議会制民主主義を蹂躙(じゅうりん)する暴挙です。選挙制度協議会の逢沢一郎座長(自民)が「論外」と批判するのも当然です。
■連立の基盤は弱い
自民・維新連立の危険な動きは決して軽視できません。しかしどの分野をとっても、国民の願いを実現するどころか負担を強いる悪政であり、矛盾を深め広げざるをえず国民的な基盤は弱いものです。
それだけに、それぞれの分野で国民の暮らし、権利を蹂躙する攻撃に反撃する世論と運動の輪を広げ、包囲していくことが求められます。
日本共産党は、新しい政治の局面をむかえ、国民的な共同をつくるために全力を尽くします。








