2025年10月19日(日)
生活保護行政の問題指摘
元最高裁裁判長がメッセージ
生存権シンポ
「いのちのとりで裁判」で、国による生活保護基準の大幅引き下げを違法とする最高裁判決を出した宇賀克也元同裁判長が17日、中部弁護士会連合会(菊賢一理事長)主催の生存権(憲法25条)をテーマにしたシンポジウムにビデオメッセージを送り、同裁判を念頭に生活保護行政の問題を指摘しました。
宇賀さんは、生活保護の申請希望者を窓口で追い返す「水際対策」について、「給付抑制のために実施された例がある」「行政指導に従わなければ申請を受理しない運用がある」と指摘しました。自身の力だけでは当事者が裁判で生存権を守ることは困難だとして、弁護士の役割を強調しました。
シンポで、鈴木靜・愛媛大学副学長は、原告勝訴の最高裁判決が社会保障裁判の歴史で「大きな到達点」だと指摘。厚生労働省が利用者の生活実態を理解していないとして、今が被害の補償に向けた「正念場だ」と語りました。
同裁判で唯一、国の賠償責任を認めた名古屋高裁判決(23年11月)を出した長谷川恭弘元同裁判長は、生活保護は憲法が定める国民主権に基礎づけられていると指摘。「生活保護は恩恵ではない。主権者の生活を守るための制度」だと強調しました。








