2025年10月19日(日)
主張
新聞の果たす役割
報道の自由守り権力の監視を
「ネット社会 それでも頼る この一面」。今年の新聞週間の代表標語です。
新聞はかつて「社会の木鐸(ぼくたく)」と言われました。木鐸は、昔の中国で法令などを市民に知らせるために鳴らした大きな鈴です。新聞が木鐸のように言論で世論を喚起し、権力の不正や不都合な真実を告発する重要な役割をもつ例えに使われました。代表標語は、多くの人がインターネットや交流サイト(SNS)からニュースを得るなかで偽情報や偏った情報が氾濫する現在、新聞にはいまも使命と責任があることを表しています。
■自己検閲の大手紙
日本外国特派員協会は5月、「しんぶん赤旗」を2025年「報道の自由賞・日本賞」に選びました。授賞理由は「自民党の不正な政治資金スキャンダル、特に党内派閥内でのキックバックの摘発で極めて重要な役割を果たした。彼らの報道は後に主要メディアも追随し、日本の政治体制を揺るがした」ことです。
この指摘通り、いま、26年間の自公連立の崩壊という激動をつくり出しました。
「党系出版社としてみなされているにもかかわらず、権力者を追及するジャーナリストとしての誠実さを示し」「独立したウオッチドッグ(権力を監視する番犬)・ジャーナリズムの重要な役割を証明」したとも評価されました。
なぜ、取材・編集スタッフが豊かな主要メディアでなく「赤旗」なのか。授賞理由では、「主要メディアは独占的な記者クラブのアクセスと自己検閲の傾向への依存もあって、与党に積極的に異議を唱えることを長い間ためらってきた」と指摘しています。
今回の裏金問題に限らず、安倍晋三政権時代の「桜を見る会」や、菅義偉政権の学術会議会員の任命拒否も「赤旗」がスクープし、政権を揺るがしました。
■利害や政治的圧力
日本の主要メディアの権力監視における弱点は、国際的にも際立っています。
国境なき記者団(RSF)が毎年発表している「報道の自由度ランキング」で2025年度、日本は180カ国中66位、主要7カ国で最下位でした。その理由として「日本は報道の自由が保障されている国とされているが、実際には、スポンサーや広告主とメディアとの経済的な利害や政治的な圧力、ジェンダー不平等といった要因が、ジャーナリスト本来の役割である『権力の監視』を十分に果たすことを妨げている」と指摘しています。
既存の大手報道機関に限定している「記者クラブ制度」の閉鎖性を問題視し、「本来、報道機関は権力や社会問題に対して批判的な視点から正確な情報を伝え、公共の利益に貢献する重要な役割を担っている」と強調しています。
「しんぶん赤旗」は今後もタブーなく調査報道と地道な取材活動で権力の監視と真実の報道に努めます。収入の99%が一人ひとりの読者の購読料です。広告主の不正追及に二の足を踏む“広告タブー”が入り込む余地はありません。各分野での市民運動を現場から伝え、国民の苦難軽減のため「日本社会の木鐸」の役割を果たす決意です。








