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2025年10月17日(金)

主張

安保法制と大軍拡

廃止は今も政治の大きな焦点

 21日に召集される臨時国会での首相指名選挙と政権の枠組みをめぐり、各党の多数派工作が本格化しています。この中で国民民主党が立憲民主党に対し、最重要な問題として安保法制を合憲と認めるよう迫っています。これは、安保法制の存廃が今も日本の針路にかかわる大きな焦点であることを示しています。

■立民の参院選公約

 2015年9月に成立が強行された安保法制は、集団的自衛権の行使を憲法違反としてきた従来の政府見解を百八十度転換し、「戦争する国づくり」を法制上可能にするものでした。権力は憲法の範囲内で行使されるべきであるという立憲主義を破壊する暴挙でした。

 安保法制は、日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、海外で米国が介入・干渉の戦争を起こした際、政府がそれを日本の「存立危機事態」と判断すれば、交戦中の米軍を支援するため、集団的自衛権の行使=海外での自衛隊の武力行使ができるようにしました。

 また、米軍に対し地理的な制約なく輸送や補給などの後方支援もできるようにしました。それまで自衛隊による米軍への後方支援については、「米軍の武力行使と一体化」することは違憲だとして「非戦闘地域」での活動に限定していました。しかし、安保法制では「戦闘地域」での活動も可能にしました。

 立民は今年7月の参院選の政策でも、安保法制について「立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分を廃止する」と公約しています。国民民主はこれを撤回するよう求めているのです。

 安保法制によって「戦争する国づくり」が法制面で整備され、それを実践面で具体化しつつあるのが、今の安保3文書に基づく大軍拡です。

■「要中の要」の課題

 22年12月に閣議決定が強行された安保3文書は、長射程ミサイルなど敵基地攻撃能力の保有や自衛隊と米軍のいっそうの一体化、5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込み、国内総生産(GDP)比1%から2%へ倍増することなどを決めました。

 その下で、全国各地で長射程ミサイルの配備や弾薬庫の新増設、日米共同訓練の実戦的な強化が進められ、周辺住民は不安を募らせています。

 軍事費の急増で暮らしの予算も圧迫されています。25年度予算で軍事費は9・5%増の8・7兆円だったのに対し、社会保障費、文教・科学振興費、中小企業対策費などは物価上昇率(24年度2・7%)にはるかに追いつかず、実質マイナスとなっています。

 立民は22年12月発表の「外交・安全保障戦略の方向性」では、安保3文書に基づく敵基地攻撃能力について「先制攻撃となるリスクが大きい」「存立危機事態においても、我が国による相手国領域内への攻撃を否定していない」とし、「賛同できない」とも表明しています。

 安保法制の廃止は、日本の平和と国民の暮らしにとって決定的に重要な課題です。同時に、立民も強調しているように、立憲主義と憲法の平和主義を回復するという課題の要中の要にほかなりません。


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