2025年10月6日(月)
トルコの青年たち 「ジェノサイド加担するな」
イスラエル制裁求める
“抗議への理解を得る対話が大切”
【イスタンブール=米沢博史】2023年10月7日のイスラエルによるガザ侵攻開始から2年がたちます。空爆と封鎖によって6万6000人以上が命を落とし、国際社会では抗議の声が広がっています。トルコでも侵攻直後から若者たちが立ち上がり、ネットワーク「パレスチナのための千人の青年」を立ち上げ、イスラエルに対する制裁を訴えてきました。その中心メンバー3人に話を聞きました。
![]() (写真)(左から)イルファン・コバンカヤさん、セナ・エーリさん、イレム・シムシェクさん=4日、イスタンブール(米沢博史撮影) |
心理士のセナ・エーリさん(24)は、「私たちはさまざまな考えをもつ人たちが集まった青年運動で、目的はただ一つ。イスラエルとの外交、軍事、経済などの関係を断つ、厳しい制裁を求めることです」と説明します。
イスラエルの石油の大半はアゼルバイジャンからトルコの港湾を経由して運ばれています。トルコのエルドアン大統領はイスラエルとの貿易を断絶すると主張していますが、アゼルバイジャンがトルコ経由で石油をイスラエルに供給していることは容認しています。
港湾では「ジェノサイド(集団殺害)に燃料を供給するな」「港を貸すな」と抗議するキャンペーンを続けています。また、イスラエルと関係のある企業や政府庁舎の前でも宣伝や集会を行っています。
「私たちの活動は街頭宣伝や抗議行動が中心で、そのためにソーシャル・メディアも活用しています」とフリーライターのイルファン・コバンカヤさん(28)は話します。「大切なのは人々と直接対話し、理解を広げることです。特に政権を批判する場合には、人々の思いに寄り添うことが大切です」
トルコでは街頭で政権を批判すると警察に拘束される恐れがあります。特にエルドアン政権の政敵であるイスタンブール市長が3月に拘束され、政府への大規模な抗議運動が起きてから、抑圧はいっそう強まっています。数カ月間拘束されたメンバーもいます。その影響で運動への参加をためらう人もいますが、とくに若者の反応は良好で、全面禁輸を求める世論は確実に広がっているといいます。
ジャーナリストのイレム・シムシェクさん(24)は、「それでも、私たちが受ける圧力は、パレスチナの人々が経験している苦しみとは比べものになりません。ガザ侵攻やジェノサイドは、いつ終わるのでしょうか」と語ります。
エーリさんが続けます。「たとえ停戦合意が成立しても、その先がどうなるかはわかりません。イスラエルは占領を続けようとするでしょう。だからこそ運動を続けていかなければなりません」
コバンカヤさんは最後に、「イスラエルを孤立させるこのたたかいは、トルコや世界の人々、とくに若者が国境を超えて連帯することで勝利できるでしょう」と強調しました。









