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2025年10月6日(月)

政治考

自民 高市新総裁選出

“原点回帰”の危険と脆さ

 故・安倍晋三元首相の側近の一人で改憲と侵略戦争正当化の超タカ派―高市早苗前経済安全保障担当相を新総裁に選んだ自民党(4日)。

 自民党議員の一人は「初の女性総理への期待をつなぎ、自民党は相撲なら徳俵にギリギリ足をかけて踏みとどまった。石破首相は最後の切り札だったがダメだった。高市新総裁でダメなら自民党は本当に終わりになる。その意味で最後の総裁選になるかもしれない」と末期的行き詰まりを自ら語ります。

「一強」への郷愁

 強面(こわもて)のタカ派を選んだ党員、議員の投票の流れに「『安倍一強』時代への郷愁、その再現への期待がある」と語り、改憲政党としての“原点回帰”に最後の「再生」の望みをかけます。高市氏は選挙中、「『岩盤支持(保守)層』の支持を取り戻す」と繰り返しました。

 高市氏は、政権安定へ公明党以外との連立拡大を急ぐ意向です。前出議員は、「高市氏なら、維新、国民に加え参政党との連携にいくかもしれない」と指摘。「スパイ防止法」を含め「反動ブロック結成」を示唆します。参政党の神谷宗幣代表は、高市氏選出を受けて「(高市氏とは)政策が近く、国益にかなう政策には協力を惜しまない」と述べました。

 一方、自民党関係者の一人は、この間の総裁選への国民の視線の厳しさを語ります。「『昨年の総裁選の敗者復活戦』とも揶揄(やゆ)された。顔ぶれだけでなく、裏金問題、『失われた30年』への失望、物価高対策の遅れなど、選挙で問われ審判を受けた核心問題に踏み込めなかった」と認めます。総裁選自体が自民党のいっそうの行き詰まりを示すものでした。

 この関係者は「去年はど真ん中で総裁選をやっていた。今回あの熱気は全くなかった。マスコミがいくら報じても有権者の視線は冷たく、周りの有権者からも『盛り上がらない』としきりだった。すでに国民の期待を失っている」と語ります。「保守回帰」は有権者の意思とずれています。

裏金議員の復権

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(写真)記者の質問に答える田村智子委員長=4日、党本部

 メディア関係者は「高市氏含め各候補がそろって強調した『挙党態勢』は、裏を返せば裏金議員の復権だ。自民党に自民党の改革はできない」と指摘。実際、高市新総裁は4日の会見で、裏金議員らの処遇について「特に人事に影響はない。しっかり働いていただく」と登用を明言しました。萩生田光一元政調会長はじめ裏金議員の続々復権となれば国民の強い反発は必至です。「責任ある積極財政」というスローガンもアベノミクスの復活につながりかねません。

 危険と同時に脆(もろ)さをはらむ流動的な政局の始まりです。ある自民党議員は「対極では、立憲民主党や共産党の存在も問われているのではないか」と述べます。

 日本共産党の田村智子委員長は4日、高市新総裁の選出について「何ら期待することはない。まさに自民党政治を終わらせて行く以外に行き詰まった状況を打開することはできないことが示されている」と発言。「反動ブロックの危険に立ち向かう新しい国民的・民主的共同を呼びかけたが、その共同を広げ発展させていくことがいよいよ求められている」と語りました。

 (中祖寅一)


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