2025年10月2日(木)
第56期将棋新人王戦 決勝三番勝負 6日から
東西の若手強豪 激突
第56期新人王戦(しんぶん赤旗主催)は、決勝三番勝負が6日から開幕します。服部慎一郎七段(26)対斎藤明日斗六段(27)の対決となりました。2人の棋風、特徴、三番勝負の見どころを、本紙観戦記者の大川慎太郎さんに寄稿してもらいました。
3度目か初Vか
3度目の栄冠か、それとも初優勝か--。今期の新人王戦決勝三番勝負は東西の若手強豪が激突する構図となった。
関西所属の服部慎一郎七段は前期の覇者で、今期も優勝候補の筆頭に挙げられており、順当に勝ち上がってきた。準決勝で古賀悠聖(こが・ゆうせい)六段を破り、今期成績は15勝5敗に。直近の10局は9勝1敗と好調だ。
関東所属の斎藤明日斗六段は、8期目の出場にして初めて決勝に進出した。過去には女流棋士や奨励会三段に敗れたこともあり、新人王戦との相性はそれほど良くなかった。準決勝で柵木幹太(ませぎ・かんた)四段に勝利して今期成績は10勝7敗。勝ち越してはいるが、斎藤本人も「新人王戦に星が集まっただけで、内容が悪い。春に順位戦でB級2組に昇級し、ホッとして気が抜けてしまった。それが長く続いたことは反省している」と振り返る。
服部と同じく、斎藤は今期が最後の出場となる。ラストチャンスに懸ける思いも強いが、「最近は見落としも多く、調子を回復させることが急務」と語る。
序盤での差し手
まずは斎藤の復調がカギだろう。もう一つの見どころは、序盤での差し手争いだ。服部と言えば、矢倉など力戦をしばしば用いる。「僕の理想の将棋は、一手一手を自分の力で切り開く乱戦です。お互いがわからない中でもがくのが好きなんです」と力強く語る。
斎藤は若手棋士らしく、AI(人工知能)を頻繁に使って、序盤を熱心に研究している。いや、熱心を超えており、一昨年に280万円もする超高額のデスクトップパソコンを借金して購入したほどだ。「正確な結論をすぐに出してくれるので重宝しています。買ってよかった」と語る。
決勝はどの戦型でも、服部のいい意味でのおおらかな序盤に斎藤が研究でどう対抗するかに注目したい。力勝負対研究将棋の構図は、AIの存在なしには語れない現代社会をよく表している。
果たして新人王戦での有終の美を飾るのはどちらか。(大川慎太郎)
力で切り開く
![]() |
はっとり・しんいちろう
1999年8月2日生まれ。富山市出身。中田章道七段門下。2020年4月1日四段昇段。25年七段昇段。第53期新人王戦(2022年)、第55期(24年)優勝。第11期加古川青流戦(21年)優勝。竜王戦3組、順位戦B級1組に所属。
AI使い研究
![]() |
さいとう・あすと
1998年7月17日生まれ。川崎市生まれ。宮田利男八段門下。2017年10月1日四段昇段。25年六段昇段。竜王戦5組、順位戦B級2組に所属。
決勝三番勝負の日程
第1局
10月6日(月)関西将棋会館
第2局
10月21日(火)東京将棋会館
第3局
10月27日(月)東京将棋会館
※いずれも午前10時から対局開始。持ち時間各3時間。










