2025年9月30日(火)
主張
政党助成金の使途
不問にできぬ裏公認への支給
物価高騰に苦しむ国民生活をしり目に、政治家が巨額の税金を受け取る特権をいつまで続けるのか。導入から30年がたった政党助成制度です。
■選挙支出疑い濃厚
総務省は25日、2024年に各党が支出した政党助成金の使途報告書を公表しました。
このなかで、自民党が昨年の総選挙で有権者を欺いて裏金非公認候補に政党助成金を支給したという本紙のスクープ(昨年10月)が裏付けられました。この制度がいかに政党を堕落させているかを示しています。
裏金事件を理由に自民党非公認となった候補11人のうち8人が、有権者には表向き非公認の立場をとりながら自民党の選挙区・比例区支部の代表を続け、総選挙公示翌日の10月16日に党本部から公認候補と同額の政党助成金2000万円を支給されました。投開票4日後の10月31日に、さらに政党助成金200万円を受け取った非公認議員、落選候補もいます。
政党助成金を使った事実上の“裏公認”との日本共産党の追及に、石破茂首相は国会で「選挙に使うことはまったくない。党勢拡大のためだ」と強弁しました。
しかし、非公認候補の使途をみると人件費を支出しているケースがあります。事務員、秘書が選挙にまったくかかわっていないというのは無理があります。また選挙関連と思われる支出も散見されます。首相答弁は国会、国民を欺くものだった疑いが濃厚です。
自民党は参院選大敗の要因として裏金問題が「不信の底流」にあったと総括しながら、総裁選ではどの候補も裏金問題を不問にし、逆に裏金議員の復権さえにおわせています。政党助成金を使った“裏公認”問題を含め、徹底的な追及が必要です。
■政党本来の姿とは
使途報告書によると、日本共産党以外の10党が総額315億3700万円の政党助成金を山分けし、前年に余ってため込んだ助成金の一部を含め総額368億7400万円を支出。総選挙が行われたことから支出額は前年から100億円増えました。供託金、公認・推薦料など選挙関係費は5・5倍に膨れ上がっています。
政党が税金を特権的に扱う様は異常です。政党は共通の理念・政策実現のため自主的に集まる組織であり、税金で支えるのは筋違いです。“国会議員の特権をなくす”というなら、何より政党助成金をなくすべきです。
政党は、国民の中で活動し支持を得て国民から浄財を集め、活動資金をつくるのが本来の姿です。
日本共産党は、政党助成金も政治資金集めのパーティー券購入を含む企業・団体献金も一切受け取らない唯一の党です。党費と「しんぶん赤旗」の購読料、国民の寄付で党を運営しています。資金の大半を政党助成金に依存する「官営政党」になることは、金への感覚をまひさせ、腐敗政治をつくり出す根源の一つとなっています。
企業・団体献金の全面禁止と一体に、深刻な「政党の堕落」を招いている政党助成制度は廃止すべきです。








