2025年9月30日(火)
裏金づくり「一覧表」会長了承
旧安倍派元会計責任者証言
領収書「必要ない」
元自民党参院議員の大野泰正被告(66)らが政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた事件の公判(25日)で、同党旧安倍派(清和政策研究会)元会計責任者の松本淳一郎氏=同罪で有罪確定=が重大な新事実を証言しました。組織的な“裏金づくり”の仕組みをはじめ、一度は中止になった還流(返金)の再開が決まった経緯を明かしたのです。その内容とは―。(丹田智之)
旧安倍派では、所属議員に政治資金パーティー券の販売ノルマを与え、ノルマを超えた分を議員側に還流していました。
松本氏が明らかにした仕組みは、ノルマや返金額を決める際に一覧表を作り、会長の了承を得て議員側に伝えていたことです。
松本氏は、会長にノルマと実際の販売額が書かれた一覧表を見せて「オーバーした分は返金という形をとらせていただきましょうか」と相談。会長の了承を得た上で返金作業に着手していました。
松本氏は2019年2月、旧安倍派の事務局長と会計責任者に就任。当時の会長は、細田博之元官房長官でした。
この仕組みは松本氏の就任以前から続いていました。前任の会計責任者は、松本氏にこう説明したといいます。「オーバー分はそのまま返せばいい」「(政治資金収支報告書には)従来から記載していない」
議員側への返金時に領収書の発行は「必要ない」とされ、備忘録として「受取書」に議員名や金額を記入させていました。
ノルマ超過分として受け取る現金を収支報告書に記載しない“裏金化”の手法は先輩議員や秘書が新人議員に教え、松本氏が「記載しなくていいみたいだ」と伝えることもありました。
![]() (写真)上脇博之教授 |
裏金議員らを刑事告発してきた神戸学院大学の上脇博之教授(政治資金オンブズマン代表)は、指摘します。「派閥幹部の了承なしにノルマ超過分の返金はできない。収支報告書に記載しないことは議員側にも徹底されていた。組織的な裏金づくりで、それを『知らなかった』と言うことは通用しない。議員の大半が起訴されなかったことも大問題だ」









