2025年9月28日(日)
防衛省 情報不開示475件
23年度 前年度比2.4倍 最多
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防衛省が、情報公開法に基づく公文書開示請求に対し、不開示決定や開示を長期間延長するケースが急増しています。総務省の調査によると、2023年度に不開示にしたのは475件と前年度の2・4倍に増え、同法が施行された01年度以降で最多となりました。22年度末に決定した安保3文書に基づき積算根拠を示さずに大軍拡を強行する中、防衛省は国民に情報を提供せず、透明性が低くなっています。
情報公開法は原則30日以内に開示すると規定。同11条で文書が著しく大量な場合、請求から60日以内に一部を開示し、残りを「相当な期間内」に開示する「特例延長」を定めています。23年度に特例延長したケースは2176件に上り、これも01年度以降で最多。このうち、開示に「1年超」かかったのは374件と、集計を開始した16年度以降で最多となりました。
一方、新たに請求を受け付けた件数は急増しておらず、過去10年間では3番目に少なくなっています。
安保3文書に基づく5年間で43兆円もの軍事費増額について、政府は積算根拠に関する資料を不開示にしたと報じられています。地元住民に説明せずに、長射程ミサイル配備や弾薬庫の新設を進めるなど、住民を軽視する姿勢も目立っており、日米の軍事一体化が加速する中、防衛省の隠蔽(いんぺい)体質が強まっています。
民主主義の根底掘り崩す
国民に情報を隠したまま政府・与党の「密室協議」による政策決定が繰り返される一方、その協議に関する公文書公開を不開示にするケースが常態化しています。本紙は、2023年に殺傷兵器の輸出解禁を一方的に決めた自民・公明両党の協議で使われた防衛省資料を情報公開請求しましたが、同省は不開示としました。重要な政策決定の過程を国民が知ることができず、民主主義の根底が掘り崩されています。
不開示となったのは、23年4~7月に計12回行われた「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しのための与党実務者協議に防衛省が提出した資料。本紙は23年7月、情報公開請求し、同省は同9月に不開示と決定。本紙が不服を申し立てたところ、今年7月に「与党の議論や政府部内の検討に支障を及ぼすなど、与党ワーキングチーム議員との信頼関係が損なわれ、今後の国の機関が行う事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」として不開示にしました。
当時、殺傷兵器の輸出解禁を与党協議で決めることについて、市民や野党議員、メディアから「密室協議」だと批判されていました。23年5月の会合では、「有識者」への意見聴取後に「(殺傷兵器輸出は)だめだと思っていたが実はそうではなかった」(自民党の小野寺五典衆院議員)などと、従来の解釈とは異なる認識を根拠なく示していました。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は今回の不開示について、防衛省に限らず同様の判断が長年行われていると指摘。一方、「国会などの公式な場以外に政策決定に関わる協議があること自体が問題だ。自分たちにとって都合の良い情報を出すという情報操作ができてしまう。政策決定に大きな影響を与える与党という立場から、本来であれば公開されない行政機関が記録した文書の公開を甘んじて受け入れるべきだ」と強調しました。










