2025年9月27日(土)
きょうの潮流
米国で深夜のテレビ番組といえば全国ネットワークが放送するトークショーが代表格です。司会者による冒頭のモノローグ(一人語り)。時事ニュースを織り込んで政治家を笑い物にすることは日常茶飯事です▼時の大統領さえジョークのネタに。これは米国民が誇る「表現の自由」だったはず。しかし、極右活動家の暗殺事件を機に、左派への攻撃を強めたトランプ大統領は、さらにABCテレビのトークショーにも圧力をかけました▼暗殺された活動家の死から政権が「利益を得ようとしている」と批判したのが、コメディアンで司会のジミー・キンメル氏でした。親会社のディズニーは同番組の無期限の中止を発表しましたが、ハリウッド俳優らをはじめとする抗議声明につづき、ディズニーによる動画配信サービスを解約する運動も全米で急速に広がりました▼中止からわずか5日で番組再開が発表され、24日のキンメル氏の復帰番組はこの10年来で最高の視聴率に。YouTube配信の視聴は、24時間で1800万回超にも▼「このショーが重要なのではなく、このようなショーが放送できる国に暮らせることが重要だ」とキンメル氏。さらに、他のトークショー番組にもトランプ政権がまたもや介入する場合、「今週の10倍の大きな声をあげないといけない」と語りました▼一方、番組再開は「信じられない」と怒り、ABCテレビへの訴訟も辞さない構えのトランプ氏。ジョークさえ受け流せない、余裕のなさが逆に際立っています。








