2025年9月27日(土)
裏金非公認に2000万円政党助成
総選挙に支出 ため込みも
本紙スクープを裏付け
昨年の総選挙で裏金事件を理由に自民党非公認となった候補8人が代表の自民党選挙区支部に、総選挙中に政党助成金が同党本部から振り込まれていた問題で、候補6人が選挙関連とみられる支出に政党助成金2000万円を充てていたり、返金することなく翌年に繰り越していることが26日、総務省が公表した2024年分の政党交付金使途報告書で分かりました。(矢野昌弘)
非公認候補への政党助成金2000万円問題は、総選挙終盤に本紙の特報(24年10月23日付)で発覚しました。その直後、石破茂首相は「選挙に使うことは全くない。偏った見方に負けるわけにいかない」と強弁していました。
石破首相は総選挙後の衆院予算委員会でも「使用目的としてそれを選挙に使わないということは、従来からわが党として一貫しておるところ」と、日本共産党の田村智子委員長の質問に答弁していました。
使途報告書によると、非公認候補8人が代表の自民党支部には総選挙公示翌日の同年10月16日に、2000万円が振り込まれています。
そのうち候補5人については、ポスターやチラシの印刷代のほか、「事務所借上料」「車輌レンタル料」「駐車場誘導業務」「車輌キャリア等組立取付代」など選挙関連と思われる支出がありました。
選挙活動に使っていなくても問題は残ります。本来、受け取った年内に使い切れなかった政党助成金は返還しなければなりません。しかし自民党の支部の多くが、残った政党助成金を「基金」として翌年に繰り越すことで、返還を免れています。
非公認候補だった中根一幸前衆院議員(埼玉6区、落選)の支部は、手をつけなかった2000万円を丸々、25年以降に繰り越しています。平沢勝栄衆院議員(東京17区)も1900万円超を繰り越しており、非公認候補にわたった政党助成金が国庫に返納されることはありません。
党本部からの2000万円について「ありがた迷惑な話だ」として返金を検討すると表明した萩生田光一元党政調会長(東京24区)と、小田原潔前衆院議員(東京21区、落選)は、自民党東京都支部連合会(都連)に2000万円を“返金”していました。
自民党本部が24年に支部への交付金として配った政党助成金は127億円余りとなっています。このうち、衆議院を解散した同年10月9日から投開票日の同月27日までに63億円超が支部に振り込まれています。裏金問題が争点となった選挙を自民党が政党助成金で乗り切ろうとしたことが浮き彫りになりました。








