2025年9月26日(金)
パレスチナ国家承認
イスラエルにも利益
平和遺族会共同代表 アイエレット・ハレルさん
イスラエルとパレスチナ双方の戦没者遺族で構成される平和遺族会「ペアレンツ・サークル遺族会」(PCFF)の共同代表(イスラエル人代表)であるアイエレット・ハレルさんが21日、本紙の電話取材に応じ、パレスチナ国家承認は平和解決の一環でありイスラエル国民の利益になると語りました。(カイロ=米沢博史)
私たちはパレスチナ国家承認を支持します。それは、和平協定の締結で対立を終わらせ、暴力の連鎖を断ち切り、両国が平和と自由、安全の中で暮らすことを願うからです。
一部のイスラエル人は、国家承認をハマスなどの敵対勢力を利するものと見なしています。しかし、私たちはそうではなく、平和共存の未来を開くものであり、国民に利益をもたらすものだと考えます。これは勝敗を競うスポーツの試合ではありません。国家承認を一方への肩入れととらえるのではなく、平和解決の一環として支持してほしいと日本や世界に訴えたいのです。私たちの主張は、国連総会が12日に採択した「ニューヨーク宣言」と一致しています。
ネタニヤフ政権はパレスチナ人だけでなく、戦争を望まないイスラエル市民の声にも耳を貸していません。報復と併合、戦争と殺りくを際限なく続けています。
ガザ地区やヨルダン川西岸の惨状、そしてイスラエルが払う大きな犠牲には深い絶望と怒りを覚えます。政府は、パレスチナ国家承認に対抗して併合を進めるなど危険な反応を示すでしょう。国家承認に対しては否定的でも戦争終結を求める人は多数います。
私たち市民団体にできるのは、戦争終結、人質解放、人道支援を訴え続けることです。デモを行い、独自のメディアで国民に語りかけています。イスラエル人とパレスチナ人双方の多くの遺族が共に声を上げています。
歴史の中で国際社会は数多くの紛争を解決してきました。どうか平和解決に力を貸してください。私たちはただ隣人同士として、自由に普通に暮らしたいだけなのです。
アイエレット・ハレルさん 1982年、兄をイスラエルのレバノン侵攻で亡くした遺族。イスラエルの60の市民団体でつくる平和団体「イッツ・タイム連合」の中心メンバーでもあります。現在の仕事はテレビ・映画プロデューサー








