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2025年9月26日(金)

主張

「はどめ規定」の撤廃

科学と人権の性教育いまこそ

 学習指導要領が10年に1度の改定期を迎え、中央教育審議会(文科省の諮問機関)で議論が進んでいます。性教育における「はどめ規定」をなくすチャンスだと“人間と性”教育研究協議会のメンバーなどが撤廃を求める署名をスタートさせました。短期間で2万6千筆を超え、11月中に文科省に提出される予定です。

■妊娠経過扱わない

 「はどめ規定」とは、現在の学習指導要領の小5の理科に「人の受精に至る過程は取り扱わない」、中学校の保健体育に「妊娠の経過は取り扱わない」とある記載です。性教育で教える内容が狭められ、特に性交や避妊の学習が避けられる要因となっています。

 いま子どもたちは性を学ぶ機会がないまま、インターネットを介して間違った情報やポルノサイトに行きついています。「自撮り被害」、SNSやゲームサイトの誘い出しによる子どもの性的被害も増えています。

 日本財団の「18歳意識調査」(2021年)では、調査した17~19歳のうち性交経験がある人は24%。うち初めての性交が15歳以下は22%で、年齢が低いほど避妊がされず、望まない妊娠も少なくありません。学校の性教育で「避妊方法を具体的に知りたかった」は約6割です。

 科学と人権にもとづく性教育の実施は若者の切実な願いです。性と生殖に関する健康と権利を推進する若者団体「#なんでないのプロジェクト」は、学校での包括的性教育の実現、「はどめ規定」廃止を求める提言書を政府に提出しています。

 世界では包括的性教育が当たり前です。身体や生殖のしくみだけでなく、自分と他者の人権、性を大切にすることを通して人間関係、性の多様性、ジェンダー平等、幸福について年齢・発達段階に応じて学ぶ性教育です。日本でも包括的性教育の実施が切望されています。

■逆流に抗す共同を

 性教育のあり方はジェンダーをめぐる大きな対決点の一つとなってきました。1975年の国連・国際女性年を契機に男女平等、ジェンダー平等を求める流れが大きく広がり、90年代には「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)が提唱されました。92年、小・中学校の学習指導要領に初めて性に関する指導内容がもりこまれ、「性教育元年」と呼ばれました。

 しかしこれに危機感をもった右派の潮流が、統一協会(世界平和統一家庭連合)とともに右派メディアを巻き込んで性教育攻撃を展開。政府は2002年度実施の小・中の学習指導要領で「はどめ規定」を導入したのです。

 いままた、極右・排外主義的な勢力がジェンダー平等への逆流を強めています。選択的夫婦別姓や同性婚反対を掲げ、多様な性のあり方への理解増進を否定し、性別役割分担を美化し「男女共同参画はいらない」「国連にだまされるな」と叫ぶ党が伸長しました。

 それだけに、逆流を許さない市民の共同を広げることが必要です。逆流をはね返し、ジェンダー平等社会の土台ともなる豊かな性教育の実現をめざし共に声を上げましょう。


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