2025年9月26日(金)
大量の負傷者を想定
日米 戦時医療訓練相次ぐ
南西諸島の戦場化にらみ
![]() (写真)米陸軍の野戦病院で、負傷兵を治療する訓練を行う日米豪の医療チーム=19日、新潟・関山演習場 |
戦闘で大量の負傷者が出たことを想定し、日米などが「野戦病院」の設置や手術、患者輸送を行う戦時医療訓練が相次いで行われています。政府は、中国を念頭に南西諸島で「戦傷医療」の機能強化を狙っており、こうした訓練は南西諸島が戦場となることを想定したものです。
米陸軍は19日、陸上自衛隊と米豪陸軍の共同実動訓練「オリエント・シールド25」の一環で、日米豪3カ国で運営する野戦病院での訓練を報道陣に公開。米側によると、米陸軍の相模総合補給廠(しょう)(神奈川県相模原市)から野戦病院を展開し、日本での実動演習で使用するのは初めてです。
野戦病院には手術室や集中治療室(ICU)12床、CT、レントゲン、薬局、酸素供給機などを完備。高度な手術や検査、入院医療が可能です。訓練では米兵に加えて、自衛隊の医官20人、豪陸軍の医官13人が参加しました。
訓練では、病院前に設置された、治療の優先順位を判定する「トリアージエリア」に、患者役の兵士が次々と運び込まれ、医官が迅速な治療が必要か、助かる見込みがないかなどと分類。症状に応じて日米豪の医療チームが、検査や手術、入院など一連の対応を確認しました。砲撃による腹部の負傷などさまざまなシナリオが用意されました。
こうした訓練は南西諸島で繰り返し行われています。25日まで実施の陸自と米海兵隊による共同訓練「レゾリュート・ドラゴン25」では、沖縄本島や石垣島、与那国島などで患者の医療や移送などの衛生訓練を実施。昨年10月の日米共同統合実動演習「キーン・ソード」では与那国や石垣で負傷した兵士を陸自V22オスプレイで自衛隊那覇病院(那覇市)などに移送する訓練を行っています。
政府は、安保3文書の一つ「国家防衛戦略」で、南西地域の第一線から本州などの病院までの「シームレスな医療・後送態勢を確立」すると明記。そのため那覇病院などの機能強化や、輸血用の血液製剤の確保などを進めています。2026年度予算案の概算要求では、那覇病院などの自衛隊病院の機能強化に1084億円を計上し、25年度比4・6倍に増えました。









