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2025年9月25日(木)

主張

万博建設費未払い

国・自治体責任で救済・解決を

 閉幕まで1カ月を切った大阪・関西万博で、海外パビリオン建設を担った下請け中小事業者への巨額の工事代未払いが放置され万博の一大汚点となっています。万博という国家的事業で重大な被害を出した国と大阪府・市、万博協会の責任が厳しく問われます。

 被害が明らかになっているのはアンゴラ、インド、ウズベキスタン、セルビア、タイ、中国、ドイツ、米国、ポーランド、マルタ、ルーマニアなどの海外館建設に携わった下請け事業者ら。万博の花形ともいわれるタイプの46の海外館の約4分の1を占めます。

 全商連の「万博工事未払い110番」に寄せられた事例は11件、被害総額は4億円超。ほかにもフランス大手GLイベンツに対する3億円超の賠償訴訟が起こされるなど被害は巨額です。GL社は来年愛知県で開かれるアジア競技大会で630億円の契約を結んでおり、不払いなら資格が問われます。

■夢洲で開催が元凶

 もともと着工が遅れ、昼夜を問わぬ突貫工事が迫られるなか開幕に間に合わせたのに、予定工期に遅れたのは「契約不履行」だと支払い拒否や1億円超の損害賠償請求など無法が横行しています。

 被害業者は「差し出せるものはすべて差し出した。あとは自分の命しかない」「未払い金があるとして融資も受けられず連鎖倒産の危機。従業員・家族も路頭に迷いかねない」と訴えます。「公共事業のつもりで受注した。未払いなんて夢にも思わなかった」と国・自治体の責任で立て替えなどの緊急支援、解決を求める声が上がっています。

 万博工事が遅れ無法な業者がはびこる事態になったのは、万博を大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)で開催したのが要因です。軟弱地盤などで費用がかさむため日本のゼネコンなどが二の足を踏み、建設業許可を受けていない無法な業者らが元請けや1次下請けなどに入り込むことになったのです。

 万博開催によって夢洲で開業するカジノ業者を支援し、大企業の要求に応えて大阪湾岸の開発をすすめるため手段を選ばず夢洲での開催を強行したことが最大の元凶です。

■責任逃れ許されぬ

 吉村洋文大阪府知事(万博協会副会長、維新の会代表)は、海外館の着工が遅れるなか「開幕には必ず間に合わせる」とハッパをかけ無法な業者まで参入する事態になったのに、「民・民の話」「税で対応は難しい」と冷たく言い放っています。しかし建設業法では元請け企業が下請け代金不払いや労働災害・違法労働の根絶に責任を負っています。国・自治体は業者を監督・指導する責任があり、万博協会も発注者として不正を許さない責務を負っています。責任逃れは許されません。

 日本共産党は国・自治体、協会に対して、▽指導・監督権限を発揮して速やかに解決をはかる▽未払い工事代金の支払いや立て替えを元請けや発注者に要請する▽緊急の資金繰り支援などを行う―よう求めています。万博閉幕後に大屋根リングの一部保存のため万博運営費の黒字分を充てることが確認されています。その費用があるなら被害救済・支援に充てるべきです。


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