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2025年9月25日(木)

きょうの潮流

 北海道のほぼ中央に位置する富良野市。テレビドラマ「北の国から」の舞台になった麓郷(ろくごう)は、富良野の市街からさらに20キロほど奥へ入った所にあります▼田中邦衛さんふんする主人公・五郎と小学生の子ども・純と螢の物語。先ごろ、関東圏で再放送がありました。初回放送から44年たっても、色あせない魅力があふれます▼作者の倉本聰さんは1974年、大河ドラマ「勝海舟」を執筆中にNHKの制作陣と対立し、突然の降板。何の準備もなしに羽田から飛行機で札幌へ向かい、そのまま転居。やがて富良野に居を移し、麓郷へ通うことになります▼純が体験した水道も電気もない暮らしは、倉本さん自身が驚いたことだと。雪に覆われた厳しい冬、待ちに待った春の芽吹き、夏のいかだ下り、秋の紅葉。キタキツネとの出会いや住人たちとの交流。大自然と溶け合い、自分の力で生き抜く。折に触れて父親の深い愛情を知った二人の子が成長していく姿が印象的です▼五郎の生い立ちを記した詳しい履歴書が地元にいまも。その生き様を背に「金なんか望むな。倖(しあわ)せだけを見ろ。自然から頂戴しろ。そして謙虚につつましく生きろ」。スペシャル版の最終章で、五郎が子どもたちにつづった遺言が心に響きます▼ドラマが今日も息づいているのは、いまの世相に投げかけるものがあるからでしょう。外国人や弱い者を排除する、金だけ、自分だけの社会に陥ってはいけない。差別や選別がまかり通ろうとする世の中への、鋭い警鐘でもあります。


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