2025年9月25日(木)
国連憲章に基づく協力で解決を
一般討論で発言相次ぐ
トランプ氏は国連批判
【ニューヨーク=洞口昇幸】ニューヨークの国連本部で開催中の第80回国連総会で23日、加盟国首脳らによる一般討論演説が始まりました。トランプ米大統領は2期目で初となる国連演説に臨み、「国連は解決すべき問題を放置している」などと繰り返し国連を批判。一方、米国の同盟国を含めて多くの国は、国連憲章に基づく国際秩序や国連の役割を強調しました。
国連創設から80年にあたる今総会の議論では、国連の役割や多国間主義に改めて焦点が当たっています。「力による平和」を掲げるトランプ米政権やウクライナを侵略するロシアなどに対し、多くの国が国連憲章や国際法に基づく平和の国際秩序を求める構図が鮮明になっています。
トランプ氏は「国連がやっていることと言えば文書を書くことで、その内容を実現しようとしない」「国連はわれわれのために存在していなかった」などと主張。米政府はイスラエルが侵略するガザ地区での停戦を求める安保理決議案を、国連加盟国の圧倒的多数の意思を無視して、拒否権を行使して何度も葬り去ってきました。そうした自国の責任には一切触れずに国連批判に終始しました。
また国連の移民支援が「不法移民」を助長していると持論を展開。「気候変動は史上最大の詐欺だ」とも述べました。
トランプ氏の次に演説したインドネシアのプラボウォ大統領は、植民地支配を乗り越えて独立した同国に対して貧困や飢餓の解決のために国連が支援してくれた歴史を紹介。国連は第2次世界大戦の反省にたって「すべての人の平和、安全、正義、自由を守るために創設された」と強調し、国連の強化を訴えました。
米国の同盟国ポルトガルのレベロデソウザ大統領は、ウクライナや中東の情勢を巡り大国がなにもしないなか、国連総会では「国際社会の集団的な意思」としてますます多くの加盟国がパレスチナを国家承認していると指摘。「われわれは国連や多国間主義を必要としている」「ルールに基づく世界こそ、より安全でより平等な世界だ」と述べました。
南米チリのボリッチ大統領は「地球温暖化が起きていないと主張することは、意見表明ではなく、うそつきにあたる」と批判。「うそや沈黙は世界の諸国民をどん底に陥れる」として国連での対話を訴えました。
グテレス国連事務総長は、疾病の世界的大流行や気候危機は一国やその軍隊だけでは止められないと指摘。国連憲章は「守るかどうか選ぶものではなく、われわれの根幹だ」と強調しました。








