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2025年9月24日(水)

ベスト4決まる

将棋第56期新人王戦

 将棋の第56期新人王戦(しんぶん赤旗主催)がすすんでいます。5日までにベスト4が出そろいました。本紙将棋観戦記者の池田将之さんに、4人の特徴と棋風、見どころについて寄稿してもらいました。


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(写真)服部慎一郎七段

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(写真)古賀悠聖六段

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(写真)斎藤明日斗六段

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(写真)柵木幹太四段

 今期も東西の実力者がベスト4に出そろいました。

 服部慎一郎(はっとり・しんいちろう)七段は優勝候補の筆頭です。第53期と前期で2度の優勝を果たしています。これまでは受けの強さと決断の良さを武器にする実戦派でしたが、最近は序盤の精度が大きく向上した印象です。

 矢倉を得意戦法に仕上げ、今期の新人王戦でも先手番だった2局はいずれも矢倉で勝ちました。

 3度目の優勝となれば、歴代最多記録に並びます。順位戦のB級1組昇級によって七段に昇段し、今回が最後の出場。有終の美を飾りたいところです。

 対する古賀悠聖(こが・ゆうせい)六段も、関西若手を代表する有望株です。バランスの良い棋風で、じっくりと組み合う将棋を好みます。後手番では雁木(がんぎ)戦法を、先手番では矢倉や相掛かりを採用しています。2024年の詰将棋解答選手権で優勝した実績もあり、終盤の鋭さにも定評があります。

 準々決勝では新鋭の吉池隆真(りゅうま)四段に苦戦を強いられながらも、終盤の粘りで逆転勝ちを収めました。

 第52期で決勝三番勝負に進出し、伊藤匠(たくみ)叡王(当時四段)に敗れました。それ以来となる大舞台への思いは強いはずです。

 斎藤明日斗(さいとう・あすと)六段は関東勢唯一のベスト4入りです。居飛車党のオールラウンダーで、作戦の引き出しの多さは今回の4人の中でも随一でしょう。最新形に通じる一方で、時に大胆な作戦も見せることもあり、その意外性も注目点です。

 準々決勝では優勝候補の1人だった藤本渚(なぎさ)六段との熱戦を制しました。第54期の準々決勝では藤本六段に敗れており、そのリベンジを果たした形です。

 今年27歳を迎え、これが最後の新人王戦。初の大舞台へ絶好のチャンスです。

 対する柵木幹太(ませぎ・かんた)四段は関西所属の若手研究派。25歳でフリークラス編入により四段昇段を果たしました。居飛車党で、先手番では相掛かりを愛用するバランス型の棋風です。

 今年1月に大勝負を経験しました。2勝2敗で迎えた西山朋佳(ともか)女流二冠の棋士編入試験第5局の試験官を務め、「初の女性棋士誕生か」という注目を集める中で堂々と勝ち切りました。

 それから柵木四段の好調が始まりました。フリークラスから規定の成績を挙げて順位戦に昇級。加古川青流戦では決勝三番勝負進出を決めており、若手棋戦「二冠」も射程圏内です。

 柵木四段も今年27歳になり、今回が最後の出場です。どちらが大舞台への切符を手にするのか。斎藤六段の作戦選択が序盤の鍵を握ると見ています。

 決勝三番勝負は過去3年、続けて関西対決となっています。斎藤六段が関東勢の意地を見せるのか、そのゆくえにも注目しています。(池田将之)

【準決勝の日程】

9月24日(水) 関西将棋会館
 服部慎一郎七段 対 古賀悠聖六段

9月25日(木) 東京将棋会館
 斎藤明日斗六段 対 柵木幹太四段

 いずれも午前10時対局開始予定。

トーナメント表

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