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2025年9月24日(水)

主張

スパイ防止法

反動ブロックの形成を許すな

 参院選で極右・排外主義の潮流が伸長したことを受け、臨時国会でスパイ防止法の制定をねらう動きが強まっています。憲法がかかげる人権と民主主義、平和に真っ向から反する悪法は芽のうちに葬り去ることが重要です。

 参院選では自民、国民民主、維新、参政、保守の各党がそろってスパイ防止法を公約にかかげました。

■各界に弾圧の手が

 目立つのが参政党の神谷宗幣代表です。“戦前、共産主義者、スパイが日本をアメリカ、イギリス、中国と戦争するように仕向けていった”(7月12日)、“社会の中枢に入り込んだ極左、公務員を洗い出し辞めさせるのがスパイ防止法”(7月14日)などの暴論を繰り返しました。臨時国会を前に、「優先順位が高いのはスパイ防止法」、「他党との交渉を水面下で始めている」とのべ、法案の準備へ法制局とも相談しています。

 自民党では「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」(会長・高市早苗前経済安全保障相)が5月、石破茂首相に「諸外国と同水準のスパイ防止法の導入に向けた検討」を申し入れ、高市氏は総裁選でも同法制定を訴えています。

 「スパイ防止法を結党時から掲げ、今も公約している唯一の政党」(青柳仁士衆院議員)をウリにする維新の会は16日、制定検討チームの初会合を開催、維新幹部は「他党との共同提出を否定するものではない」としています。

 国民民主の玉木雄一郎代表は「党内で立法に向けて議論している。主導してどんどん新しい政策を国会に出していきたい」とのべています。11日、同党の「スパイ防止法チーム」が初会合、法案をとりまとめて与野党に協議をよびかけたいとしています。

 神谷代表は、スパイ防止法の必要性を訴えた街頭演説で、リベラルな人、共産主義につながった人たちが「政治家、メディア、弁護士、裁判官、テレビタレント」など日本の中枢に入り込み、参政党を攻撃し、「しっかりしたことを言う政治家をつぶしてきた」と敵視しています。

 ここからも明らかなように、スパイ防止法が実際に取り締まる対象は、社会の中枢にいる公務員にとどまらず、「政治家、弁護士、メディア、裁判官、テレビタレント」など広範な人々なのです。

 治安維持法が共産主義を取り締まるとしながら、実際には共産主義者だけでなく、社会主義者、自由主義者、宗教者などに弾圧の手を広げたことを思い起こさせます。

 この危険な本質を認識しているからこそ、神谷代表はX(旧ツイッター)で、「今後スパイ防止法が議論される際には反対派が治安維持法を引き合いに出してくることが予想されます」と予防線をはっているのです。

■信条の違い超えて

 自公が衆参両院で少数になったもとでの臨時国会。推進勢力は与野党協議や法案の共同提出も視野に動いていますが、スパイ防止法を反動ブロック形成の突破点にさせるわけにはいきません。

 民主主義を蹂躙(じゅうりん)する悪法を阻止するため、思想・信条の違いをこえて、声をひとつにして、立ち向かうときです。


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