2025年9月23日(火)
主張
パレスチナ国家承認
対米追随極まる日本政府の姿
飢餓に苦しむ子どもらをはじめパレスチナ・ガザの人々を救う行動がいまこそ必要なのに何もしない―日本政府は世界に恥ずべき姿をさらしています。
国連本部で22日開かれた首脳級会合にあわせ、国連加盟国193カ国中これまでパレスチナを国家承認していた約150カ国に加えフランス、イギリス、オーストラリアなどが承認を表明しています。
パレスチナ問題解決の唯一の道は、パレスチナとイスラエルがそれぞれ独立した主権国家として共存する「2国家解決」です。国連総会で日本も含め142カ国が賛成した「ニューヨーク宣言」は、パレスチナの国家承認はその不可欠な要素だと強調しています。国家承認はパレスチナに連帯し、イスラエルを国際世論で包囲し蛮行をやめさせる意思を示すものです。
■制裁さえも言えず
ところが日本政府は、ニューヨーク宣言に賛成しながら承認を見送りました。“いつかはするが、いまは効果的ではない”と言うのです。
では、どんな状況になればするのか。岩屋毅外相は「パレスチナ自治政府の改革がしっかり整うこと」(19日の会見)とパレスチナ側に責任を転嫁しました。
イスラエルが解決の道を閉ざすさらなる行動をとる場合は「あらゆる選択肢を排除せず新たな対応を検討する」と言いますが、これは、現段階では同国の行動は容認範囲内だと考えていることを示します。しかも新たな対応とは何か明言せず、イスラエルへの制裁さえ「予断を持って言えない」として答えません。
イスラエルがガザ市への大規模な侵攻を再開したことで国際的な批判はいっそう高まっています。国連人権理事会の独立調査委員会はイスラエルの行為をジェノサイド(集団殺害)と認定し、国際社会に「行動しなければ共犯だ。すべての国家にはジェノサイドを止める法的義務がある」と訴えました。しかし岩屋外相は判断を回避し、ジェノサイドだとも認めません。
■国際的な孤立の道
グテレス国連事務総長は16日、「可能な限り多くの国がパレスチナを国家承認するのがよい」とのべました。アラブ諸国や欧州各国もイスラエルへの制裁を強めています。しかし日本政府はイスラエル製武器の購入を否定せず、同国の軍需企業が参加する展示会を後援。パレスチナを国家承認しないことでイスラエル政府から感謝までされました。
日々理不尽に失われる命、人権の蹂躙(じゅうりん)を目にしながら毅然(きぜん)たる態度がとれないのは米国に忖度(そんたく)しているからです。政府関係者の話として「米国は…非公式に国家承認をしないように要請」(「朝日」)などと報じられています。岩屋外相の「明示的に要請があったわけではない」との言明が報道を裏付けています。
世界から、「米国に逆らえない国」「平和のために世界をリードできない国」とみられ、イスラエルや米国とともに国際社会から孤立する道です。米国に政策変更を迫り、パレスチナを直ちに国家承認し、イスラエルに制裁を課し、ジェノサイドを止める義務を果たすべきです。








