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2025年9月22日(月)

主張

国連創設80周年

大国の横暴許さぬ国際秩序を

 1945年10月に創設された国連が80周年を迎えます。

 21世紀に入って、国連はその3本柱の活動(平和、人権、持続可能な発展)のすべてで大きな挑戦に直面し、新たな前進を切り開いています。

 国連憲章がもっとも重視するのは「国際の平和と安全の維持」です。ところが、その中心機関である安全保障理事会は、常任理事国であるロシアがウクライナを侵略し、米国がイスラエルとともにパレスチナ・ガザ問題で無法者としてふるまい、有効な措置をとれない事態になっています。

 そこには、ごく一握りの大国が、自国の都合を最優先して拒否権を振りかざすという根本問題があります。

■明確な多数者の声

 しかし、国連が機能不全に陥っているわけではありません。50年に採択された「平和の結集決議」にもとづいて、安保理に代わって総会が必要な役割を果たすという道が開かれてきました。

 この決議による緊急特別総会は、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を、そしてガザ問題で即時停戦と人質解放、イスラエルの占領終結を、圧倒的多数の賛成で採択してきました。

 ごく少数の大国の横暴を許さない国際社会の意思は明確に示されています。

 拒否権についても昨年9月、国連の「未来サミット」が、「拒否権の範囲と行使の制限」を含めて合意形成に努力するとの、これまでより踏み込んだ成果文書を一致して採択しました。改革を求める声はかつてなく高まっています。

 20世紀後半に100を超える新たな主権国家を迎えた国連は、193カ国が加盟する、もっとも広範な権限と普遍性をもつ国際組織として、大国の横暴に抗して国連憲章を中心とする国際秩序をつくっていくうえでかけがえのない重要な役割を担っています。

 第2の柱である人権の擁護と推進で、国連は世界人権宣言(48年)を出発点に、これまでに70以上の立法化を進め、個人の人権の国際的保障という人類史上の新しい地平を切り開いてきました。

 戦争や紛争、貧困による人権蹂躙(じゅうりん)は続いており、早急な対応が求められます。

 第3の柱の経済社会開発では、2015年採択の「持続可能な開発目標」(SDGs)で「誰一人取り残さない」を原則として打ち出しました。地球温暖化の深刻化もあり、地球の生命維持装置を守りながらどう発展をすすめるか、持続可能な発展のあり方が鋭く問われています。

■市民社会とともに

 日本共産党はこの間、一握りの大国が世界政治を思いのままに動かす時代は終わり、世界のすべての国が世界政治の主人公となり、諸政府とともに市民社会が国際政治の構成員として大きな役割を果たすという世界の発展方向を明らかにしてきました。

 各国政府とともに、被爆者を先頭に市民運動が力を発揮した核兵器禁止条約の発効など、国連の到達点はそのことをはっきりと示しています。

 いま直面する大きな挑戦に対して、各国政府と市民社会の共同をいっそう発展させることこそ求められます。


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