2025年9月19日(金)
主張
安保法制強行10年
廃止が一層切実さ増している
2015年9月19日に安倍晋三・自公政権が、国民的な反対運動と世論を無視し、憲法の平和主義、立憲主義を破壊して安保法制=戦争法の成立を強行して10年です。
安保法制は、集団的自衛権の行使について歴代政府が憲法違反としてきた見解を百八十度覆して可能にするなど「戦争国家づくり」を“法制面”で整備するものでした。これを受け、22年12月16日に岸田文雄・自公政権が閣議決定を強行した「国家安全保障戦略」など安保3文書の下、敵基地攻撃能力の保有や5年間で43兆円の軍事費という空前の大軍拡によって“実践面”での「戦争国家づくり」が進められています。
実際、国家安全保障戦略は、安保法制が「安全保障上の事態に切れ目なく対応できる枠組みを整えた」と指摘。安保3文書は「その枠組みに基づき戦後のわが国の安全保障政策を実践面から大きく転換するもの」と述べています。
■進んで戦争に参加
安保法制が可能にした集団的自衛権の行使とは、日本は武力攻撃を受けていないのに、米国が第三国と始めた戦争を政府が「日本の存立が脅かされる事態」(存立危機事態)と判断すれば、戦争をしている米軍を支援するため、自衛隊が参戦し、武力を行使することです。
元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は、安保法制を審議した衆院特別委員会で「集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということだから、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与えるということでもある」「国民を守るというよりは、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘していました(15年6月22日)。
■日本に大きな被害
そうした米国の戦争に参加する準備が今、急ピッチで進んでいます。集団的自衛権の行使と同様、歴代政府が憲法違反としてきた敵基地攻撃能力の保有です。
防衛省は8月、敵基地攻撃能力保有に向け、中国大陸にも届く国産長距離ミサイルの配備を25年度から開始する具体的な計画を公表しました。
今月11日から始まった日米共同訓練(レゾリュート・ドラゴン)では、長距離巡航ミサイル・トマホークを発射できる米軍のミサイルシステム(タイフォン)を岩国基地(山口県)に展開するなど、日米一体で敵基地攻撃能力の強化が図られています。
政府は敵基地攻撃について「わが国と密接な関係にある他国(米国)に対する武力攻撃が発生した場合など、武力行使の3要件を満たす場合に行使し得る」(23年4月6日、岸田首相、衆院本会議)とし、集団的自衛権の行使として可能としています。
また、日本が集団的自衛権を行使する場合、「(敵国から)わが国に対する武力攻撃が発生し、わが国に被害を及ぼす場合もあり得る」(同年2月6日、衆院予算委員会、浜田靖一防衛相)と認め、「大規模な被害が生ずる可能性も完全に否定できるものではない」としています(同)。
「戦争の準備」を止め、安保法制を廃止することが切実な課題になっています。








