2025年9月18日(木)
主張
日本母親大会
逆流許さない共同と交流広げ
日本母親大会は今年で70回目を迎えます。28、29日の2日間、東京都内で開催され、全体会と一部の分科会は現地参加に加えオンライン併用で全国の視聴会場と結ばれます。各地で学習と運動の交流、連帯を広げる絶好の機会です。
70回の節目の大会は、激動する世界、日本の政治の歴史的岐路のなかで開かれます。
ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのパレスチナ・ガザ攻撃が長引く中で子どもたちと女性が甚大な犠牲を強いられています。ガザでは5万人以上の子どもが死傷、乳幼児の栄養失調も深刻です。妊娠中の女性6万人が栄養失調に苦しみ、流産も増えていると報道されています。
希望は世界各地で繰り広げられる紛争終結を求める運動です。国連でも、平和的解決、パレスチナ国家承認とイスラエルとの2国家共存を支持する決議が採択されるなど、市民の声と運動は国際社会に変化を及ぼしつつあります。
■原点は平和の運動
平和と子どもの命、女性の権利を守る運動は母親大会の原点そのものです。広島、長崎に続いて3度目の被爆をもたらした、1954年のアメリカのビキニ水爆実験に女性たちが怒り、核戦争から子どもを守ろう、二度と戦争を許さないと運動を広げました。
母親大会はその中から出発し、翌55年、第1回大会が東京で開かれました。ねばり強くとりくまれてきた運動が核兵器禁止条約の国連採択に結実する流れのひとつになったことは間違いありません。
いま、多くの女性たちが平和の危機、くらしの危機、子育ての大変さと子どもの未来への不安のもと、さまざまな切実な要求にもとづいて行動にたちあがっています。母親大会はこうした多彩な運動と共同し共に歩んできました。
課題は、選択的夫婦別姓やLGBTQの権利、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)など新しい分野に広がり、運動の方法やつながり方も多様になっています。
■女性の権利前進を
母親大会は「母親」だけの運動でも、子育てを女性におしつけるものでもなく、平和や子育て、女性の権利の課題を社会の問題として話し合い、実現を求める場となってきました。
今日、「自分らしく生きたい」と願うあらゆる女性たちが、権利の主体として、平和とジェンダー平等、くらし、子育てなどさまざまな要求と運動を交流し、学び合う場として発展していくことが期待されます。
7月の参院選で外国人差別を声高に主張する極右・排外主義の勢力が伸び、政治の逆行が懸念されています。女性の社会進出を否定し、家父長的な家庭観にもとづく女性の役割を強調するなど、ジェンダー平等に対する逆流も強まっています。これに対して多くの女性が「私の生き方は私が決める」「差別・分断は許さない」と立ち上がりました。
こうした逆流を許さないたたかいの交流と共同の場としても、戦後80年、女性差別撤廃条約批准40年の年に開かれる今年の日本母親大会に求められるものは大きく、大会の成功が期待されます。








