2025年9月17日(水)
主張
医療・介護の危機
打開のための共同を広げよう
日本共産党は第6回中央委員会総会の決議で「医療・介護の危機打開へ、立場の違いを超えた共同を」と提起しました。自公政権の社会保障改悪路線のもとで医療・介護の危機は深刻です。このままでは「病院が突然倒産して、地域で医療が受けられなくなる」「訪問介護事業所がなくなる」事態が避けられません。
毎年、社会保障費抑制の旗を振ってきた「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)ですら、今年(6月13日閣議決定)は「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と書かざるを得ませんでした。
■公的保険切り縮め
しかし重大なのは、同方針が「予算編成においては、2027年度までの間、骨太方針2024で示された歳出改革努力を継続」すると宣言していることです。医療・介護報酬の引き上げは検討するが、一方でこれまで進めてきた患者・利用者負担の引き上げ、サービス供給体制の切り捨ては続けるということです。
これを明確に示すのが自民・公明・維新の3党合意(6月)です。「医療費4兆円削減」を念頭に「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」「11万床の病床削減」「応能負担の徹底」などを掲げています。国民民主、参政も保険給付削減を主張しています。
OTC類似薬(市販品のある処方薬)が保険給付の対象から外された場合、患者負担は数倍から数十倍に跳ね上がります。コロナ禍では病床不足で「医療崩壊」が生じました。11万床もの病床を削減すれば、住んでいる地域で入院できない、さらには新たな感染症や大規模災害への対応が困難になります。「応能負担」とは主に高齢者の窓口負担を引き上げるものです。
維新などは「保険料負担を下げる」とアピールします。しかし、そのために保険適用薬を保険外にするなど公的保険の縮小がすすめば、仮に保険料負担が減っても、現役世代を含め、病気になると自己負担が増えます。
病気への不安に備えようと思えば民間の医療保険への加入などが必要になり、結局、公的、民間合わせた保険料負担は増えます。実際、政府は給付削減の一方で民間保険の普及を掲げます。貧富の差で受けられる医療の格差が広がりかねません。
保険料を下げるには、公的保険縮小や患者負担増ではなく国費の投入こそ必要です。
■知事会なども支援
医療の公定価格である診療報酬が抑制されてきたために、物価高騰や人件費の引き上げに対応できず病院の経営危機が深刻です。日本病院会など病院6団体は政府に補正予算での緊急支援を要望しました。全国知事会や全国20の政令指定都市でつくる指定都市市長会も早急な対応を求めています。介護では共同通信が実施した全国自治体アンケートで97%が「介護保険維持に危機感」と回答しています。
誰もが安心して必要な医療・介護が受けられるように、立場の違いを超えた幅広い共同をつくりましょう。








