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2025年9月15日(月)

温室効果ガス排出量 報告義務撤廃を提案

米政権 温暖化対策に逆行

環境団体が批判

 【ワシントン=柴田菜央】米環境保護局(EPA)は12日、化石燃料を活用する施設に課していた温室効果ガス排出量の報告義務の撤廃を提案しました。地球温暖化対策に逆行する動きの一つで、トランプ大統領が推し進めてきたもの。環境保護団体からは批判の声が相次いでいます。

 報告義務は2010年に民主党のオバマ元政権下で導入されました。石炭火力発電所、石油精製所、製鋼所など約8000の工業施設から温室効果ガスの排出量のデータを集め、気候変動を加速させている二酸化炭素やメタンなどのガスを探知する重要な手段となってきました。

 EPAのゼルディン長官は声明で、報告義務について「お役所的手続きにすぎず、空気の質を向上させることもない」などと主張。撤廃すれば、米企業は今後10年あまりの間、法令順守に必要な費用を最大24億ドル(約3500億円)節約できるとしています。

 これまで集められた情報は、政府の政策決定に役立てられてきました。世界的な気候変動を止める取り組みの一環として先進国に排出量の報告を求める国連にも共有されてきました。

 自然保護団体シエラクラブの環境政策を担当するパトリック・ドラップ氏は、EPAは報告義務を撤廃する正当な理由を示していないと批判。「これは気候変動の現実を否定し、市民よりも化石燃料産業と汚染企業を優先させるEPAの最新の行動だ」と述べました。

 「気候行動キャンペーン」の幹部のマーギー・アルト氏は、ゼルディン氏の主張を非難し、「汚染を測定しなければ、それに対処することはできない。情報を隠し化石燃料企業の責任を回避させることが真の目的だ」と強調しました。


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