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2025年9月15日(月)

主張

敬老の日

高齢者の人権を保障する国を

 きょうは「敬老の日」です。「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿をお祝いする」(国民の祝日法)の趣旨にちなみ、本当の「敬老」を考えたい日でもあります。

 世界では10月1日が「国際高齢者デー」です。高齢者の権利や尊厳を守ること、社会に対する高齢者の貢献を強調・啓蒙(けいもう)する日です。

 この国際基準に照らして高齢者の人権が保障される日本社会の実現は、すべての年齢の人たちの現在と未来に希望と輝きが持てる真の長寿社会に通じます。「自助・自立」を強要し、高齢者をないがしろにしてきた自民党政治に対し、世代を超えノーの声をあげ、共同を強めるときです。

■自律・独立が基準

 日本は、男性81・13歳、女性87・13歳と、世界でも最も長い平均寿命を誇る高齢化の先進国です。強調したいのは“人間には価値の上下がなく、誰もが唯一無二の存在だ”ということです。

 社会の高齢化は、医療技術の進歩や食生活の改善などで死亡率が低下した結果であり、喜ばしいことです。なのに、これまでの自民党政治は少子化対策の失政には目をつぶり、「少子高齢化」を口実に、高齢者と現役世代の分断・対立をあおってきました。高齢者に「自助・自立、自己責任」を迫り、介護や医療の負担増とサービス削減をすすめてきました。

 それに対し、国連の高齢化に関する作業部会の文書は「自律・独立」を掲げ、社会的サービスを十分受けながら諸権利を行使して家族や施設職員、役人に支配されずに自己決定しながら生活していくことを権利としています。

 「高齢者のための国連原則」などの到達点に学びながら2022年の日本高齢者大会で採択されたのが「日本高齢者人権宣言」です。宣言は政府が高齢者に関係する制度や施策の立案などにあたって「尊厳、独立、参加、ケア、自己実現」の基本原理を基本とするよう求めています。

■低年金の是正こそ

 高齢者の尊厳や独立の保持を脅かしているのは、高齢者の「所得」である年金が貧弱なことです。月額10万円以下の老齢年金受給者は2255万人、そのうち女性は1732万人で、女性の老齢年金受給者全体の83・71%です(厚生労働省、24年)。

 単身高齢女性の多くが貯蓄なしには暮らせないほど低年金で貧困な生活を余儀なくされています。女性がパートなど低賃金労働に集中していることが受給額に影響を及ぼしています。背景には「男は外で働き、女は専業主婦として家事をする」という誤った役割分担が押しつけられてきたことなど、ジェンダー不平等の積み重なりがあります。

 国の責任で誰もが最低の生活が保障される最低保障年金制度の導入が不可欠です。女性の低年金を是正させ、ジェンダー平等を実現するためにも、「日本高齢者人権宣言」を力にして「国の責任で暮らせる年金を」との要求を多数派にする草の根運動が重要です。国際労働条約(ILO条約)や女性差別撤廃条約など国際基準を活用した運動もおおいに進めましょう。


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