しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年9月11日(木)

主張

少女暴行事件30年

悲劇のない平和な島の実現を

 1995年9月4日、沖縄県で米兵3人が12歳の女子小学生を拉致し暴行した事件から30年がたちました。同年10月、事件を糾弾し日米地位協定の見直しを求める県民総決起大会が宜野湾市で開かれ、戦後最大規模の8万5千人が参加。女子高校生が「静かな沖縄を、軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」と訴えました。

■今なお後をたたず

 それから30年たった今も、過重な米軍基地負担は変わらず、米兵による事件・事故も後を絶ちません。2016年には元海兵隊員の軍属が暴行目的で20歳の女性を連れ去って殺害し死体を遺棄する事件や、23年には米空軍兵が16歳未満の少女を誘拐し自宅で暴行する事件などが相次いで起こっています。

 沖縄県の統計資料などによると、米軍関係者(軍人、軍属、家族)による事件のうち、殺人や強盗、性的暴行などの凶悪犯の検挙人数は、95年から今年7月末までで127人にも上っています。

 米ブルームバーグ通信は今月4日、沖縄など日本国内で繰り返される米兵の性的暴行事件を受け、米国防総省の監察当局が、在日米軍の犯罪防止方針の順守状況について調査を始めたと報じました。

 対象は、陸海空軍、海兵隊など全軍種にわたり、「特に日本国民に対して凶悪犯罪を行った兵士の職務遂行状況、訓練内容、犯罪歴を調べる」としています。米兵犯罪の深刻さを示すものです。

 沖縄タイムス9日付は、95年の少女暴行事件を起こした米兵3人のうち2人に強盗などの前科があったことが分かったと報じました。同記事は、米軍には前科がある者の入隊を認めない原則があるものの、前科を把握した上で特別に許可する制度があり、今も相当数を受け入れているとしています。こうした米兵も日米地位協定によって日本の入国審査を免除されています。

 95年の少女暴行事件では米軍が日米地位協定をたてに起訴前の容疑者の身柄引き渡しを拒み、県民の怒りが爆発しました。その後、凶悪犯罪に限り、日本側が起訴前の身柄引き渡しを要求すれば、米側は「好意的な考慮を払う」とする合意が結ばれました。しかし、結局は、米軍の判断任せで、実際に身柄の引き渡しを拒否された例もあります。

■基地縮小撤去こそ

 日本の国土面積の0・6%にすぎない沖縄には、全国の米軍専用基地面積の70%が集中しています。米兵による事件・事故が頻発するのは、広大な米軍基地があり、日米地位協定で特権を保障された米兵が多数駐留しているからです。

 少女暴行事件を受け、日米両政府は96年、沖縄の基地負担軽減策の象徴として、米軍普天間基地(宜野湾市)の返還で合意しました。しかし、県民多数が反対する名護市辺野古の新基地建設を返還条件にしたため、普天間基地はまったく動いていません。

 沖縄を「悲劇のない、平和な島」にするには、辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還をはじめ、米軍基地の大幅な縮小・撤去、日米地位協定の抜本的な見直しが不可欠です。


pageup