2025年9月11日(木)
カタールでハマス攻撃
イスラエル軍 「主権侵害」非難広がる
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍は9日、停戦交渉のためにカタールを訪問中だったパレスチナのイスラム組織ハマスの幹部を標的とした攻撃を行ったと発表しました。ガザでの停戦交渉の仲介国カタール領内を攻撃したことに「露骨な主権侵害」との非難の声が上がっています。
攻撃は24時間以内にパレスチナのガザ地区とヨルダン川西岸、レバノン、シリア、さらにチュニジアに停泊していた国際NGOのガザ支援船にまで及んだと伝えられています。
カタール外務省は9日、首都ドーハでハマス政治局メンバーが滞在中の施設が攻撃されたと発表し、「国際法と規範の明白な違反であり、国民と居住者に対する深刻な脅威」だと強く非難しました。同国内務省によると、治安部隊員1人が死亡、複数が負傷しました。
イスラエル軍は、ドーハでの作戦を認め、イスラエル首相府は「本日の行動は完全にイスラエル単独によるものだ」とSNSで発表しました。
ハマスは同日、メンバー5人が死亡したと明らかにしました。停戦交渉を担当するハマス幹部のハリル・ハイヤ氏は暗殺を免れましたが、息子と側近1人が死亡したとしています。
国連のグテレス事務総長は「カタールの主権と領土保全に対する露骨な侵害」と強く非難しました。
カタールと共に停戦交渉を仲介してきたエジプトの大統領府は、「停戦仲介を担ってきたカタールへの攻撃は危険な前例となり容認できない。この攻撃は調停努力を損ない、地域の安定を脅かす」と強く非難。サウジアラビア外務省も「残虐な侵略でカタールへの露骨な主権侵害」と非難しました。
国連安保理はこの問題を巡って10日に緊急会合を開くことを決めました。会合はアルジェリア、パキスタン、ソマリアが要請したものです。








